為す術 ページ18
太宰side
Aの親だと語る男女はとても若く見えた。
だが顔のパーツが所々彼女に似ている。
本当に彼女の親なのだと思った。
彼らはAが家出をしたと言っていた。
家出をして拐われたのだ、と。
彼女は家を追い出されたと言っていた。
話が噛み合っていない。
何方も筋は通っている。だから私はその男女を止める事が出来なかった。
Aの言っている事が本当かどうかわからなくなってしまったから。
連れて行かれるAの私を呼ぶ声が聞こえた。
止めたいのは勿論だった。
でも彼女の父親は言った。他人である私に止める権利はないと。
間違ってはいない。それにもし彼女の両親が言った事が正しければ私に止める理由もないのだ。
また彼女を救えなかった。
今度こそ絶対に手の内から逃さないと誓ったのに。
いとも簡単に彼女は連れて行かれた。
でも、今回はどうもできないかもしれない。
静かになった部屋で一人、自分を責めることしか出来なかった。
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Aside
数人の使用人が僕を部屋に連れて行き、着替えさせ、リビングに向かわせる。
僕は行きたくないのに。
貴方「行きたくないよ」
「旦那様の指示ですから」
少し前を歩きながらそう言った。
巫山戯るな。僕は太宰さんとあの小さな部屋に居るだけで十分に幸せだったんだ。
此方です、と使用人がドアを開けて僕に入れと促す。
大人しく部屋に入ると今度はソファーに座らされた。
少しすると両親と弟が入って来た。
僕の向かいのソファーに座ると父さんが口を開いた。
父親「ほら、お前が会いたいと言っていた姉さんだ」
母親「約束通り連れて来たわよ」
僕をじっと見る弟。
何だ、コイツのせいで僕は太宰さんから引き剥がされたのか。
弟「あの、姉さん、僕ずっと会いたかった。姉さんに。僕が小さい時にこの家から居なくなっていたから」
貴方「……そう。私は別に」
母親「もっと言う事があるでしょう？A」
貴方「ない」
父親「久しぶりに会ったんだ。あるだろう」
貴方「ない。私は会いたくなんてなかった。太宰さんがいない生活なんて嫌」
父親「あの人間の何処が良いんだ。人間だぞ？しかも男だ。騙されているに決まってるだろう」
貴方「太宰さんはそんな人じゃない！」
弟「姉さん、人間の所に居たの……？」
貴方「あんたには関係ない。守られて生きてきたあんたにわかる話じゃない」
太宰さんに会いたい。
助けてよ……。
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2018年10月21日 23時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます！！！此れからも頑張って下さい！！！応援させていただきます！！！ (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年10月19日 21時
