ねぇ、どうして ページ17
あれから数日、二人で何度も試して考えてを繰り返した。
でもどんな方法を使ったとしても飲む事は出来なかった。
少しずつ身体か重くなってきた。
辛くて起きれない日もある。けれど太宰さんは僕を置いて仕事には行かない。
前の事があるから。
僕が一人の時に何かあったら嫌だから。
太宰さんに寄り掛かり乍ら考える。
太宰「そろそろ本気でどうにかしないとね」
貴方「ん？」
太宰「君の身体が限界に近づいてる」
貴方「それはわかってるよ」
何時もみたいに頭を撫でられていると来客を知らせる音がなった。
探偵社の人たちかな？
僕から離れて玄関に向かう彼の背を見つめる。
外の少し寒い風が僕の所まで吹いてきた。
太宰さんの声ともう二つ、男女の声が聞こえる。
それは何処かで聞いたことがある様な……。
そう思いながら目を瞑ると自分の名前が呼ばれているのに気がついた。
僕の話をしている……？
重い身体をどうにか立たせて玄関に近づく。
「うちの娘を返して貰おうか」
「やっぱり貴方が拐ったのね。可哀想に」
そう言う声を僕は良く知っていた。
足が止まって動かなくなる。
貴方「……太宰さん、扉閉めてください。今すぐ」
太宰「A…」
「何です、親に向かってそんな」
「A、帰ってきなさい。人間のしかも男の家に居るなんて知られたら一家の恥だ」
貴方「帰りません。絶対に。僕は、私は太宰さんの傍にいるって決めたんです」
「そんなのお母さんは許してないわよ。ほら、帰りましょう」
無理矢理腕を引かれる。
身体に上手く力が入らない。
太宰さんに目を向けると何かを考えている様だった。
貴方「嫌、離して！」
僕が声を上げている横で父さんが太宰さんに話しかけていた。
「悪いが、君は他人だ。この子の親である私達に刃向かえない。保護していてくれたのは感謝するよ」
そう言うと両親は僕を連れて止めてあった車に向かった。
貴方「太宰さん！ねぇ、助けてよ！太宰さん！」
僕の声が届いているのかもわからない。
彼はただ俯いたままだった。
今すぐ彼の所に行きたいのに抵抗しようにも力が入らない。
ねぇ、太宰さん、どうして助けてくれないの。
どうして何も言ってくれないの。
ねぇ、ねぇ、太宰さん。
僕の事好きだって言ってくれたのは、嘘だったの？
全部、嘘だったの？
車の窓から社員寮を見て苦しくなった。
幸せになる事さえも許されないのかな……。
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2018年10月21日 23時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます！！！此れからも頑張って下さい！！！応援させていただきます！！！ (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年10月19日 21時
