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彼が良いと言うのなら ページ11

されてきた事を太宰さんが繰り返してくれれば塗替えれるのかもしれない。
でも僕は太宰さんに暴力を振るってほしいわけじゃない。同じ生活をしろと強要されたいわけじゃない。
僕が頼めば太宰さんはきっとしてくれる。でもそんなんじゃない。違う。もう嫌だ。

貴方「……太宰さん、僕にも頂戴」

太宰「未成年だろう?」

言葉に反して表情は柔らかかった。

貴方「ちょっとだけ」

太宰「まぁ、私も人の事言えないか」

彼の口から溢れたその言葉の意味を聞く前に彼は僕にお酒の入ったコップを手渡した。

太宰「何でもないよ。今日は見なかった事にしてあげる。私も酔ってたから覚えてない。それでいいだろう?」

貴方「ありがとう」

太宰「でも、お酒に任せて忘れようとするのは良くないよ。朝起きたら明確に思い出すのだからね」

貴方「わからないんだ。どうしたらいいのか。前より僕の中でアイツの存在が大きくなってる気がして」

ゆっくりコップの中身を口に入れる。
お酒を飲むのは初めてじゃない。酔った男にお前もと飲まされるのがどの家でも常だった。だからあまりいい思い出はないけど一時気を紛らわせるには十分だ。

太宰「……もっと私でいっぱいになってしまえばいいのに」

ふと呟かれたその言葉は僕を悩ませた。
素直に私が我儘を言って困るのは太宰さんだ。だから僕は我慢しようって決めたのに。

貴方「重荷になるだけだよ」

太宰「誰が決めたの?それ」

貴方「僕だよ」

太宰「ならわからないじゃないか。主催者が競技前に優勝者を独断で決めてしまうのと同じだ」

貴方「どういうこと?」

太宰「やってみなきゃわからないだろう?有力と言われている人が優勝しない事もある」

貴方「うん」

太宰「君が重荷になるかどうか決めるのは私だ。だからもっと我儘言っていいのだよ」

貴方「本当に我儘言っちゃうよ」

太宰「いいんだよ、言って。聞きたいんだ」

彼の体に寄りかかりながら本音を言いたい私と必死に止めようとする僕の決着を待った。
アイツの事を手っ取り早く忘れる方法はもうわかってる。でもそれは同時に太宰さんを困らせるかもしれない。もしかしたら否定されるかもしれない。
けどいいって言ってくれてるんだ。

貴方「……私を、抱いてください」

そう言うと太宰さんはえ?と目を見開いた。
やっぱり駄目だったかな……。
そう思う僕を他所に彼は嬉しそうに笑った。

太宰「いいよ。本物を教えてあげる。他の事なんて全部忘れてしまうくらいのをね」

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設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時

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