三十三言目 ページ37
家に帰って来て夕食も済ませ中也と向き合って座る。
彼はがやがやと騒いでいたバラエティー番組を切った。
中也「後悔しても知らねェぞ」
貴方「…そんなに悪い事あったの？」
中也「まァ手前がどう思うかは知らねェが、俺に取っちゃ良い事なんてねェよ」
貴方「何で？中也には何も危害加えてないでしょ？」
中也「馬鹿。好きな女が目の前で荒んでいくのに見てる事以外できねェんだぞ。辛いに決まってンだろ」
貴方「……ごめん」
そんなに私の事考えてくれてたんだ……。
もっとしょうがなくって感じなのかと思ってたから嬉しい。
中也「覚悟は良いんだろうな。太宰いなくなった後の話と、異能の事と、俺の事、だろ？」
貴方「そう」
中也「どれからがいい」
貴方「すぐ終わるのから」
中也「異能の話だな。昨日言った事覚えてるか？」
貴方「感情的になると聞いてる方に私の思ってる事が聞こえるって話？」
中也「あァ。ざっくり言うとそれだけだが、聞く以外にも聞かせるって事が出来る。訓練次第だがな」
貴方「そっか」
聞かせる、か。
聞く以上に体力も集中力もいりそうだ。
中也「手前の頑張り次第だな。で、次は俺の話、でいいか？」
貴方「うん」
中也「あのなァ…その、冷たくしてたって訳じゃねェんだ」
貴方「じゃあ何？」
中也「……上手く声が出なかったのと、言葉が出てこなかったんだ」
貴方「え……」
中也「だから！手前が好きで話す事もできなかったンだよ！」
赤くなる中也、珍しい。
でも言ってる事も表情も此方が恥ずかしくなってくる。
上手く話せなくなるくらい私の事が好きとか…。
どうしよう……。
目を逸らすと彼の手が伸びてきた。
中也「此方向けよ」
貴方「やだ、恥ずかしい」
ゆっくりと近づいてきた彼は一瞬接吻をして離れて行った。
先刻以上に彼を見れない。
そりゃそうだろう。彼からの接吻なんて片手で収まる回数しかされてないんだから。
中也「いいだろ？もうしても。付き合ってンだし」
貴方「うん…」
中也「……仕事相手にもそんな顔してンのかよ」
ちらっと見ると彼は珍しく拗ねてるみたいだった。
可愛い…。こんな顔できたんだ…。
貴方「してるわけないじゃん。好きな人にされるのは格が違うの…！」
中也「あーもう、馬鹿、そういう所だよ。俺が好きなのは」
貴方「どういうこと？」
中也「いい。何でもねェ」
また赤くなって顔を背ける。
彼ってこんなに表情豊かだったんだ……。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました（笑） (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます！頑張って書こうと思います！ (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます！ (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます！いつもゆっくり更新ですが頑張りますね！ (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年4月15日 0時
