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十九言目 ページ22

激しい音が響く敵地、私は新人達に見ておけと一言言ってその音の中に飛び込んだ。

やっと敵の三分の二が片付いた様に見える。
もうここまで来れば初めに予定されていた人員でどうにかなりそう。
そう思い乍ら的確に相手に銃弾を当てていく。
相手の出方なんて読めてる。
勘もあるが、異能をある程度開放してやれば丸聞こえなのだ。



中也とついてきた瑞希さんは遠くで見ている。
広津さんの護衛付きで。
加わるなという条件付きで首領に許可を貰ったのだとか。

嗚呼、やっぱり中也は瑞希さんといる方が絵になる。というか、きっと私はただの使用人に過ぎないのだろう。彼女だなんて自惚れていた自分に嫌気が差す。





死にたい。




目の前で私の撃った弾で死ねるのが羨ましい。
死んでいくのが羨ましくてしょうがない。
贅沢な奴らだ。

バンッと引き金を引く。
運悪く少し外した様で相手は痛そうに唸りながらもまだ動ける状態だった。

貴方「あーごめんね、外しちゃって。今ちゃんと撃ってあげるから、ね?」

敵の男「何言ってんだ嬢ちゃん。撃たれるのはお前だ」

貴方「えっ、撃ってくれるの?嬉しいなぁ」

敵の男「は?頭可笑しいんじゃねぇの」

相手の撃った弾が当たる。
腕に足に肩に頬に。
どうやら私がさっき撃った弾は利き手側にあたっていたようで、その力のない手が放つ銃弾は命中はしない。



痛い。



でも私は太宰と違って痛くても死ねるなら何だってする。
数発撃たれた所で弾がなくなった様だ。

貴方「もう、終わり?……じゃあ私の番だね。楽にしてあげるからね」

キッと睨む男の額に銃口を当て一気に引き金を引いた。
凄い速さで貫通する銃弾。
その光景に楽しささえ覚えた。
倒れ込む男。
その胸にも弾を撃つ。
何発も何発も。

笑い声が聞こえる。
狂ったような声。
……あれ、この声よく知ってる。これは私が言葉を発すれば出る声。私の声。
バンッバンッと弾が減っていく。


そして数発撃ったところで大きな音はならなくなった。
弾がなくなった。
足元に銃を落として目の前で真っ赤になったもう何かわからないものに手を伸ばす。
自分の撃った弾をその中から素手で取り出す。手が赤くなっていく。
でも何だか楽しい。羨ましい。憎い。私も死にたい。


「……!…い!A!おい!いい加減にしろって!」


……中也?
私の腕をぐっと掴む黒い手袋。
それを見て意識が現実に帰ってきた気がした。





私何してんだろう……。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

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