一言目 ページ3
朝、といっても九時半だからそんなに早くもない。
今日は急ぎの仕事はないからこの時間まで寝ていた。
とりあえず何か食べようと冷蔵庫を漁り、昨日の夕飯の余りを出して電子レンジに放り込んだ。
彼はというと、昨日というか日付けが変わった後に帰って来てるからきっとまだ寝てる。
でも流石にもうそろそろ起こさないと。
リビングを出て、私の部屋の向かいの部屋をノックする。
貴方「中也、もう起きないと遅れるよ」
返答はない。
仕方なく扉を開けるとまだ彼は寝ていた。
疲れてるのはわかってるから本当は寝かせてあげたいけど、流石に幹部が寝坊しましたってのは避けてほしい。
貴方「中也、遅れるよ」
とんとん、と肩を叩いて言うとうっすらと目を開けた。
台所の方から電子レンジの音が聞こえる。
貴方「ほら、ご飯食べよ」
返事の代わりに彼は起き上がって欠伸をした。
寝起きを見れるのはかなり貴重。
普段は私の方が後だったり、私が起きたらもういなかったりする。
幹部ってのは私なんかよりずっと忙しいんだ。
此処で私のしている情報整理担当ってのが何をやってるのかちょっと説明しておこう。
その名前の通り、マフィア内にある情報、資料を紙もデータも管理している。
要らなくなったものは消したり奥にしまったり、出してくれと言われれば探して渡す。
言わば情報窓口だ。
普通の構成員も幹部も首領も情報や資料が欲しければ私の所に来ないと貰えないのだ。
因みに私がやってるのはそれだけじゃない。
最新の情報で不足していると思ったものは追加する。
殺しはしない。自分の命が危なくなった時以外は。
私がやるのは色仕掛けだけだ。
情報を握ってる男と途中くらいまでやる事やって、その間に異能を使って聞く。途中、適当に誰かに電話してもらってそれを口実に帰る。
偶に帰れない時もあるけど。
そうなりそうな相手は事前に見極めて、手段を変える。
まぁ時と場合によりって感じ。
こんな感じの仕事だからマフィア内で中也と関わる事は少ない。
もっと彼と一緒にいたら何か変わるかなとか思ったり思わなかったり……。
中也「あ、この前の組織の資料」
お米を箸に乗せたまま突然思い出した様にボーッと言った。
貴方「出しとく?」
中也「一応」
貴方「わかった」
普段の会話はこんなものばかり。
仕事以外の話をしてる方が珍しいくらいだ。
異能を使えば良いのだろうけど、彼が私の事をどう思ってるのか怖くて聞けない。
それに彼が選んだ言葉を聞きたい。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時