十三言目 ページ16
中也の秘書は女の人だ。
如何にも大人の女性という印象が強い私より二歳年上、中也と同い年の人。
そりゃ勿論私なんかよりも中也と並んだ時映えるし、美男美女って感じ。
きっと中也の本当のタイプの人。私が中也のタイプじゃないって事は付き合う前からわかってる。
だって昔から中也の選ぶ女性はスタイルが良くて、大人っぽい。
しかも瑞希さんは優しい。けどそれが気に入らない。
だって彼とずっと一緒にいるし、基本何でも出来るし、彼女に悪気があるかどうかはわからないけど、中也の所に仕事で行けば受け渡し、伝達は彼女を通す。詰まり、中也に直接話す事ができない。
憎い。
嫉妬なんてしたところでどうにもならないけど彼女の存在、立ち位置が気に入らない。
結局朝、あの後彼に心配され乍ら仕事に来た。
だって休んだ所で困るし、情報を記入する作業が残ってる。その作業は早くやらないと普段の記憶と同じでどんどん忘れていく。私の異能では留める事は出来ないから。
今は休憩がてら資料の整理をしている。
その中で中也に確認しないとどうにも出来ない資料が……。
貴方「失礼しまぁす。ちょっと確認に……」
瑞希「あ、幹部、私がやりますから」
ほら、この調子だ。
貴方「これ、廃棄してもいい資料ですか」
瑞希「もう少し残しておいて下さい」
貴方「わかりました」
出した資料をファイルに仕舞っているとすっと目の前に紙を持った黒い手袋をした手が現れた。
それを辿ると彼がいた。
手に握られている折り畳まさった小さな紙を受け取ると彼はまた仕事に戻って行った。
瑞希「え、幹部、今の何ですか」
中也「ちょっとした言伝だ」
瑞希「言って下されば私がやりますのに」
中也「流石のお前にも無理だ。大事な内容だからな」
瑞希「何ですかそれ」
中也「さぁなァ」
珈琲を飲む彼と目が合い何だか気まずくなった。
自分は此処に居ちゃいけない様な気がした。
貴方「……失礼しましたっ」
彼の執務室を飛び出して自室で貰った紙を開く。
『辛かったら先帰ってろ。顔色悪いぞ。寝た方が良い。死にたいと思うなら早めに人に言えよ。勝手に自傷したり未遂したりすンなよ』
え……、此れって、ただ心配されてるだけ……?
やっぱり昨日から彼の様子がおかしい。
だってこんな風に心配して来る人じゃなかった。
私何かした?
原因がわからない……。
嬉しいけど複雑。
彼の字を見た儘、何も出来なかった。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時