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七言目 ページ10

中也side

ため息を吐いてテーブルに突っ伏す。
眠いからもあるが、今日の彼女の行動が少し気にかかったからだ。

俺の彼女は上西A、今は情報担当をしているが、元太宰の補佐兼秘書をしていたそこそこ頭も良く、戦わせても申し分ない女だ。
だが、彼奴には面倒な部分がある。
昔は太宰と同じ自 殺愛好家だった。
今はそこまでじゃないが、疲れていたり良くない事が続けて起きると死にたくなるらしい。
そうなってしまったら誰かに近くにいて欲しくないか、いて欲しいかの二択になる。
まぁ一人で泣きたい時と、慰めてほしい時の違いだ。

とは言っても俺に一緒にいてくれと言ってきた事は殆どない。
それは俺がAを前にしたら言葉が喉に支えて何も言えなくなるせいだ。
彼奴を前にすると頭の中が真っ白になって言いたかった事も上手く言えなくなる。
好き過ぎて、だ。
本当はずっと目の届く所に置いておきたい位に好きで手放したくないのに、本人を前にすると突然自分が変わってしまう。

「何じゃ、だらしないのぅ。またAかぇ?」

中也「流石にバレてますか。……やっぱりどうしても変われなくて」

紅葉「考え過ぎじゃ」

中也「……姐さん、付き合って二年になるのに手も繋いでないのは流石にやばいと思いませんか」

紅葉「それは個人のペースであろう?」

俺が毎日悩んでいる事を姐さんは当然かのように答えた。

中也「違います!俺はもっと彼奴に触ってたいし、声を聞いてたいんです!なのに気持ちばっかりで体が言う事を聞かないからどう頑張っても会話の一つにもなりゃしないんです!」

紅葉「中也、落ち着くのじゃ。……なら、毎日小さな目標を決める、というのはどうかぇ?」

姐さんに出されたお茶を飲みながらまたAの事を考え、姐さんの言葉を聞き流す。

中也「小さな目標?」

紅葉「自分から話しかけるでも良い。仕事意外の話をするでも良い。とりあえず何かを積み重ねるのじゃ」

確かに今までは気持ちばかりが焦って何をどうしたいのかごちゃごちゃとしていた。
だが、焦らなければ言葉が喉に支える事もなくなるんじゃないだろうか。

中也「……やってみます」


今日はその後特にやることもなく、首領から昨日帰りが遅かったからもう帰って休んでいいとの連絡があった。
普段Aがいる情報室に寄り、もう帰っている事を確認してマフィアのビルを出た。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

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