三十言目 ページ34
青い綺麗な瞳から涙が落ちていく。
見続けていると彼は目を逸らして涙を拭った。
貴方「……どうして泣いたの。私別に泣くような事言ってないでしょ」
中也「お前の異能のせいだろ」
貴方「え……?」
中也「昔っから感情的になると向けられてる此方にお前の思ってる事全部聞こえてくンだよ」
貴方「何それ、知らない……」
中也「知ったら自分の意思も捨てかねないから教えンなって首領が」
貴方「何て聞こえた……?」
中也「何て言ってたかはわかんねェ。けど、苦しそうな声だった」
貴方「そう……」
自分の異能の事なのに知らない事があるなんて……。
教えてくれたって良かったのに……。
中也「なァ、何がそんなに苦しいンだよ」
貴方「……色々」
中也「その色々が知りてェ」
貴方「聞いたら知らない方が良かったって言うよ」
中也「わかんねェよ。聞いてみなきゃ」
貴方「わかるよ。絶対そう言うもん」
突然彼の手に押されソファーに倒れ込む。
腕を掴まれ逃げる事も出来ない上に彼の目が見たこと無いくらいに鋭かった。
中也「……いいから言え」
貴方「中也にはわからないよ」
中也「それでもいいから言え」
真剣だった。
真っ直ぐだった。
彼の目はただじっと私を捕えたまま、離すことはなかった。
貴方「振り向いてほしい人が此方を見てくれる筈もないから。ずっとその相手の近くにいるのにどんどん距離があいてる気がして。その人が違う人を見てるってわかってるのに何処かで自分の事もなんて思ってる自分に嫌気が差して死にたくなるの。わからないでしょ?中也は死にたくなるなんて事ないもんね」
中也「わかるわけねェだろ。……その振り向いてほしい人ってのは誰なンだよ」
貴方「誰だっていいでしょ」
少し強く言ってしまった。
けど、本当に彼にわかるはずなんてない。
中也「もうずっとなのか」
貴方「ずっと。一方通行だよ。ずぅっと、ね」
中也「そうか」
そう言って中也は黙って私から離れた。
中也、そういうのが苦しくて辛くて痛いんだよ。
ふと視線を向けたカーテンの隙間からは白い光が差していた。
嗚呼、今日も満足に寝られなかった。
でも川に入ったせいか、感じなかった体の痛みや感覚はぼんやりとはしているがわかるようになった。
……何時になったら先生の所に行けるんだろう。
彼が振り向いてくれないなら早く向こうに行ってしまいたいのに。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時