2 ページ34
どうやら私の両親が残した財産は莫大なもので、生きていくには充分なお金だった。
でも無駄なものは買わないし、必要最低限の生活を送っている。
いや、語弊がありました。
送っていた、のです。
そう、非通知番号から電話がかかってきたかと思えば、ハウスに向かえだのなんだのと言うので、今懐かしの＿＿＿ワイミーズハウスの前に立っている。
記憶がおぼろげだけれど、正面玄関から入ろうとして.........やめた。
よく馬鹿をやり合っていた、あの大講堂へ。
「怖い......」
夜だし扉も古くなってるから、ギギィという音がホラー映画にぴったりだった。
ただし、階段に背丈の高い青年が座っているという、古風なホラー。
目を凝らさずともわかる。
「な...............なんで......?」
今までずっと、身を潜めていたのに。私が見つかったら、Ｌが危険な目に遭うと思ってずっと......ひとりで暮らしてたのに。
どうして.....? ここにあなたがいたんじゃ、まったく意味がない。
「..............A」
ふわぁっと。
声変わりした声が、私の知っていたものより遥かに綺麗に響いた。
「.........迎えに来た」
「こ、ここまで来させておいてですか...？」
「だから......おいで。昔みたいに」
.........また戻れるの？ 戻ってもいいの？
意地悪く両手を広げて、ニヤリと笑う姿は、私が今までしてきたことの意味を一瞬で消し去ってしまった。
小難しいことを言わずにすれば、私は＿＿＿
「.....っ......Ｌ.......！」
「......ごめん。随分待たせて」
ただ抱きしめられたいだけの思いで、思い切り抱きついていた。
声を上げて泣いた。しゃくり上げながら。
時間の感覚がぼやけ始めたころ、Ｌがぐちゃぐちゃになった私の顔を自分の方へと向けさせた。
「今度は.........ちゃんとできますか...？」
Ｌは笑う。相変わらずニヤリと。でもその中にはきっと、色々な感情があるはず。
そして、3度目の正直となった。
触れたいと思っていた唇が重なる。
まっすぐで、でも溶けてしまいそうで、世界を忘れることのできる口づけ。
すごく長かった気がするけど、一回だけじゃ、お互い満足できなかった。
だから何度も繰り返す。空白の7年間を埋めるように。
「っ.........ん、は......」
息をつく間もない。Ｌの貪るようなキスに、身を委ねる。
私たちは、世界で一番幸せだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キカ(プロフ) - ユナさん» ありがとうございます！ 本当に光栄です笑 ユナさんに読んでもらって嬉しいです(＞＜) (2016年10月9日 20時) (
レス) id: a57beac9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - いつも見てます！もう何回目だろ...。笑 この作品、作ってくれて感謝です！！！ (2016年10月9日 20時) (レス) id: 277db17051 (このIDを非表示/違反報告)
キカ - うわあああついにやっちまったああああああ！！ (2016年3月2日 20時) (レス) id: 9b871d8798 (このIDを非表示/違反報告)
キカ - ですです！ (2016年2月24日 17時) (レス) id: 9b871d8798 (このIDを非表示/違反報告)
スミカ - Ｌイケメソですよね！！ (2016年2月23日 17時) (レス) id: 9b871d8798 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キカ | 作成日時：2016年2月10日 14時
