▷今はまだ、気づかないで。 ページ8
S.Sakamoto × 同期
｢阪本、お前ホンマになんでまた忘れるん…｣
俺がそう言うと、何故か睨まれる。
忘れたというのは漫才衣装。
｢中谷に言われるとムカつく｣
100%阪本が悪いのに悪態をつかれまくる。
｢どこに忘れたん？｣
｢…多分、森ノ宮｣
“ちょっと確認してみますね”と言って電話をかけに行くスタッフさんに2人で頭を下げる。普通の人が見たら分からないだろうが、ずっと下を向いている阪本は今、そこそこに凹んでいる。
阪本は1度凹むとかなり面倒な人間になるから、とりあえず放っておく。ボーッと携帯をいじりながら待っていると“阪本さん！”と、先程のスタッフさんがドアの近くをうろついていた阪本に駆け寄ってきた。
｢衣装、森ノ宮にあったそうです！｣
｢ホンマですか！ありがとうございます｣
｢Aさんがこっち来るついでに届けてくださいますので、よろしくお願いします｣
そう言い終わり、スタッフさんが去っていくと阪本がこっちに来る。
｢なんかAが届けてくれるらしい｣
｢アイツらも次こっちやったっけ？｣
｢は？お前今日アイツらと一緒なん忘れたん？アホなん？｣
｢なんでそんなに言われなあかんねん｣
衣装が見つかって少し機嫌がいいらしい阪本に理不尽な罵詈雑言を浴びせられながら、俺はとりあえず衣装に着替えに行く。
．
『阪本！！！』
ドアが開くと同時に楽屋に響いたのは威勢のいい同期の声。阪本を見つけると勢いよくそちらへ向かい
『お前なんでまた忘れるん！』
と、俺がさっき言ったようなことを怒りながら言った。いつも喧嘩腰の2人は仲がええのか悪いのか。よく2人で飯行ったりしてるけど、話し始めれば言い争いをして、その様子を見て辻さんや堂前さんは“アイツらホンマ仲ええよな”なんて笑っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 562人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：L | 作成日時：2022年5月4日 0時
