Laundry. (ページ13)

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▶︎7月のサイダーページ13

K.Fukaya × 同期

君と歩いていた炎天下。
若手時代、100人キャパも埋められなかったあの頃。
1番、楽しかったあの頃。

『暑すぎ！！世の中！！！』

「怒んなって。ほら、早くご飯行こうよ」

『健人の奢り〜』

「なんでだよ！まあいいけどさぁ」

たまたまNSC時代から同じバイト先だった私たちは、今も一緒にバイトに行っている。芸人としての給料なんて小遣い程度で、暇さえあればバイトの毎日。

通りを二人で歩きながら、今日はどこで食べようか、なんて在り来りな会話をする。休日ということもあり、人が多くて歩きにくい。

『うわっ』

「おぉ、大丈夫？」

『大丈夫。ありがと』

「こっち側、歩きな？」

すれ違った人にぶつかった衝撃のまま、健人にまで体当たりに近い力でぶつかってしまった。
健人って同期の中で1番イケメンだよな、なんて暢気なことを考える私は夏の暑さにかなり逆上せているのだろう。

「にしても、人多いなぁ今日」

『んね、なんやろ』

大通りに近づくにつれて聞こえてくるのは賑やかな声や音楽。
もうお祭りの季節が来てしまった。
彼氏と夏祭りデートなんてキラキラした毎日は私には遠すぎて、浴衣を着て歩くカップルに恨みすら抱かなくなった。

『お祭り、か』

「祭りだね〜、夏だね」

『もういつから行ってないんやろ』

「確かに、どうせなら何か食べに行ってみる？」

『ええ何それ楽しすぎやん』

「誰よりもAは少年の気持ちを忘れてないもんね」

『せめて少女にしてくれ』

角を曲がるとそこには色鮮やかな景色。
射的のおじさんの笑顔を信じて貴重なお小遣いを使っていた純粋な頃に戻りたくなる。

『こんなに沢山あったら迷ってまうて』

「出たよAの優柔不断」

『違う違う、慎重なの』

「はいはい」

結局、健人は焼きそばを買って私はりんご飴。ゆっくり食べながら、このあとバイトとか信じられる？なんて笑い合う。

2人ともバイトに行きたくなさすぎてトボトボと人混みの中を歩いていたら、どんどん健人と離れてしまって。うわ、どうしようと思っていたら私の腕が引っ張られる。

「おっと、」

という声と同時にバランスを崩した私を健人が後ろから抱きしめる形になる。