オレンジの傘

＊ ページ31

ｰin sideｰ







慧「質問の答えだけど、大ちゃんは3人で暮らしたいんだね？」





大貴「うん！」





慧「分かった。おばさんにも話してみるね？」





大貴「ほんと！？やったぁ！」













田辺「ごめんなさい」





慧「やっぱり、そうですよね…」





田辺「伊野尾さんには、お話した通り、私は病気を患っています。大貴には心苦しいですが、一緒には暮らせません」






慧「じゃあ、会いに行くくらいは、良いですか？」





田辺「え？」






慧「大ちゃんと、定期的にじゃ無いかも知れないけど、会いに来ます！」





田辺「伊野尾さん…貴方はどこまでも優しい方ですね」





慧「ありがとうございます」





田辺「ぜひ、会いに来てください」





慧「はい」









おばさんはこれから入院生活をしなければいけないらしく、だからこそ大ちゃんとは暮らせないという答えになってしまうんだ。



どこまでも酷い神様だよ。














家に帰ってからも、大ちゃんは楽しそうにニコニコと遊んでいた。









大貴「あ！けぇちゃん、おかえりなさい〜！」





慧「ただいま大ちゃん」





大貴「大ちゃん、おるすばんしたよ！」





慧「そうだね！大丈夫だった？」





大貴「うん！」





慧「ほんの少しだったけど、ちゃんとお留守番出来て凄いね」





大貴「えへへっ！…ねぇ、けぇちゃん」





慧「ん？」





大貴「おばさんと、いっしょにくらせる？」









不安そうな顔で俺を見上げてくる大ちゃん。




俺はその不安を少しでも和らげてあげるために大ちゃんの前にしゃがみ込んで目線を合わせる。









慧「おばさん、一緒に暮らせないって」





大貴「そっか…」





慧「でも会いに行くことは出来るよ？」





大貴「ほんとっ！？」





慧「うん！だから毎日じゃないけど会いに行こうね」





大貴「うん！いく！」





慧「よし！良い子だ！」









少しでも大ちゃんが嬉しいことをしてあげる為にも、俺も頑張んないとね。







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