全然知らない天使「APH」 (ページ9)

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マリアに連れられて大きなドアを前にした。
小さく中にいる人の声が聞こえる。どうも何かを討論しているらしい。それは罵倒を交えているけれども、概ねはきちんとした意見だ。
「ここは今の俺らの戦場だ。会議室ともいう」
戦場だと言うマリアの笑顔はよく言えば楽しそう、悪く言えば悪巧みをした時の顔だ。狡猾そうな笑顔はなんだか筋金入りの悪ガキのようで。
「入れよ、お前の居場所もあるんだからよ」
その言葉に背を押されて私は重い扉に手を当て、体重をかけた。ぎいっという音でそれは開く。シャンデリアが天井からぶら下がっている。その光が様々なものをキラキラ輝かせていた。
様々な色の目が私を捉える。青やら紫やら緑やら。意識は私に集中し捉えて離さない。
「回収は済んだぜ。とりあえず、名前だけ教えておく。俺はギルベルト・バイルシュミット」
ギルベルト、は私の頭を優しく一つ撫でると大柄な男のところへ連れて行った。
「覚えてるだろ？アルフ。忘れもしねえよなあ？」
ギルベルトが意地悪くその人を言及する。
「そうだね、忘れないさ。
俺はアルフレッド・F・ジョーンズ。君とは昔色々あったけど、仲良くしたいよ」
自然な動作で握手を求めるアルフレッドの手を私はとらなかった。
「こちらこそ、ジョーンズさん」
わざとらしくジョーンズと呼ぶ。
「ギルベルト君、件の天使君の名前は？」
そして用はないというように他の男の名前を出す。
「ライヴィスだ」
そのライヴィスは本当に少年のような背の低い、愛しい彼だった。