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「縛る?俺が?兄さんを?」
「そうだよ?君は考えたことないの?なんで亡国が存在できるのか」
一人は声を荒げ、一人はおちょくるように言葉をかわす。どうにもそれがいいようには思えないけれども。
「彼を形作っているのはね、思いなんだよ。壁があった頃を思い出し、その頃に戻りたいという思いが少しでもある場合、彼は形成され続ける。
だから僕も存在してるんだよ、祝福された子。呪われながら生きたことなんかないくせに」
まるで自分を傷つけながら相手を傷つけているようだ。私にはボロボロになったしろくまと、言葉のナイフで貫かれている青年と、何も言わず視線を伏せるマリアしか見えなかった。
「祝福された子、か。そうだな。ヴェストは俺が作り上げた最高傑作だ。あいつは祝福されるべく生まれた。お前だって最初は望まれて生まれてきたんだろ?」
マリアがしろくまを睨んだ。
「うーん、どうだったかなあ。帝国時代のことなんてもうおぼろげにしか覚えていないよ。君だって僕をいじめたこと都合よく忘れるんだから!」
その一言で空気が一気に明るくなった。
「氷の上でガッシャンガッシャンやったら氷は割れるでしょ?なんでそれすらわかってなかったの!」
「いやあれは……大丈夫かな?って」
「おバカさん!」


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作者名:何處 | 作成日時:2016年6月26日 21時

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