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「──ジョゼフさんは、どうして写真を?」
「……私は写真に永遠を求めた」
「君がフィルムの中に嘘偽りのない姿を求めたように」
彼の横顔は、酷く苦しそうだった。
……僕はその
やり場のない怒り、悲しみ。
大切な人を亡くした絶望と虚無。
ジョゼフさんが荘園に望むものは分からないけれど、苦難の末にここに来たことだけは分かった。
「A」
「夢のためなら戦え」
「抗い続けろ。求めたのなら、妥協するな」
「……うん」
「見た者を引き留めるつもりで撮るよ」
「生意気だね、本当」
ふ…と優しく微笑んだ彼に、あの表情は浮かんでいなかった。
気がつけば女神像から正面ゲートまで来ていたようだ。
開かれた出口から、ふわりと風が吹く。
「このゲームに恋しさを覚える日が来るなんて……」
「それ、かなりイカれてるよ」
「やっぱり?」
ジョゼフさんは僕を運んだまま、ゲートに近づいた。
「……あの〜」
「何?」
「ゲートを目前にして何故 右に曲がるんですかね?」
「何故って……」
彼の口元が楽しげに歪む。
「君を吊るからに決まっているだろう」
「え」
僕の体が椅子に押し付けられた。
「え?え?何で!?
今、感動シーンだよね?完全にゲートまで運んでくれる流れだったよね!?」
「何を勘違いしているんだ。
最後だからって、分けを勝ちにしてあげるとでも思ったのかい?」
「だってそんな雰囲気だったからうわぁああぁぁあぁあ!!!!!!!」
僕の体はロケットチェアと一緒に吹っ飛んだ。
期待していた先程までの自分を殴りたい!
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おみくじ結果は「末凶」でした!
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/
作成日時:2021年3月21日 18時