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ここはどこだ?
頬を軽く叩いて意識を覚醒させ、辺りを見回す。
そこは、
「あ、ルカくん!どこに行っていたんだい?」
「……え?あ、ああ…少しね」
「もう、撮影の途中じゃないか!」
A君が私の肩に触れるも、その手は妙に冷たい。
得体の知れない恐怖に、体が強ばった。
「さぁ、次のシーンを撮るよ。いつものペースでいかないと間に合わなくなるからね」
「ああ…そうだね。早く撮ろう」
右手に握られた見慣れない台本に不安を抱きながら、私はセットの方へ向かおうとした。
…何か大切なことを忘れているような。
「ああ、ルカ。探したよ」
すると突如 A君の親友がやって来た。
何かがおかしい。
一緒に映画を作り上げた仲間なのに、どうしてこんなによそよそしいのだろう。
……いや待て。
「……?私は何を考えて」
「どうした、体調が悪いのか?」
「いや、何でもないよ」
すると彼は神妙な面持ちで息を吸った。
「繝上?繝??繧ケ縺ィ縺ョ隱鍋エ?r遐エ繧九↑縲」
彼の声は、ノイズまみれになっていた。
一体何なんだ。
このスタジオに来てから違和感ばかりで気味が悪い。
普段はそんなことなかったのに。
……普段?
「ごめん、よく聞こえなかった。兎にも角にも、これから撮影だろう?早く行こう」
……気がつけばそこには私と彼しか居なくなっていた。
セットもスタジオも消えて、荘園にいた。
「そんなことを言っている場合じゃない。
Aもそうだ…全く、前々からあれほど気を付けろと言っていたのに」
「あの、何のことか分からないのだけれど……」
「よく聞け、ルカ──Aの畏友よ」
「用心せよ。
何があっても謖ッ振願ソり返k縺るな」
駄目だ、聞き取れない。
「……あ」
ふわり…視界が白くなった。
その刹那、全ての違和感が夢だと気づく。
薄れゆく意識の中、彼の真剣な顔が脳内に深くこびりついた。
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/
作成日時:2021年3月21日 18時