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「ルカくん……」
……そうだ。
何故クヨクヨしているんだ。僕が自信を失ってどうする。
今までだって、抗ってきた。
ただひたすらに立ち向かってきた。
「君は、最低な映画監督じゃない。
君の熱意が……人の心を打ったのだから!」
──僕の
それを、他でもない僕が否定してどうする。
……オリーの遺作を「駄作」と言うなんて、それこそ最低だ。彼に失礼だ。
こんなの全然クールじゃない。
僕はどうかしていたみたいだ。
僕はもっと、格好良いはずだ。
「っ……ああ、そうだよ!そうだとも!! 僕は、僕は!
反天才映画監督だ!!!」
「そこ、天才じゃないんだね」
「…流石に……うん。自重しました、はい」
「ふふ……でも、君らしくていいと思うよ」
──ああ、僕は彼に何度 救われてきたことだろう。
君がいなければ、僕はきっと変われなかった。
「……A君。
さっきの映画、もう一度 観よう」
「…?」
「例え誰の目に触れられなくとも、その分 私たちで観て…楽しもう。
それが、君の友人への弔いになると思うんだ」
視界がぶわっと揺らいだ。
またもや泣いてしまった。歳をとって涙腺が緩くなったのかな、なんて冗談を心に唱えてみる。
「……っ!うん…うん!そうだね!」
僕は涙で濡れた頬を拭き、再び映写機にフィルムをセットした。
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/
作成日時:2021年3月21日 18時