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さてこの作品……僕的には良いと思ったのだけれど、周りから見れば違ったみたいだった。
「結局 このフィルムは大失敗に終わったんだ」
プロデューサーはカンカンに怒って、二度と僕の電話を受けることはなかったよ。
でも、僕はすぐに次回作を作ることになる。
「ある日、真夜中にオリーから電話がかかっきたんだ。『A、助けてくれ』って!
慌てて家に行ったらさ、どうなっていたと思う?」
「うーん、病気で倒れてしまったとか?」
「半分正解、半分間違いかな……」
「拳銃を持って出てきたんだよ」
「えっ!?」
「あの時は流石の僕も肝が冷えたかな!」
「でも彼は何故そんなことを?」
「……モルヒネ中毒が悪化して、そのせいで妻に逃げられてしまってね。正気を保てなくなっていたんだ」
一緒に死んでくれとまで言われた時は本当に参ったよ。何とかして止めないといけないけれど、一体どうしたものか。
落ち着いて、なんて声をかけても落ち着くはずがない。焼け石に水だ。
当然だけど僕はまだ死にたくないし、これからも一緒に映画を作りたかった。
「……というわけで!
オリーが死なないように…そして僕が道連れにならないように、彼が主演の次回作の話をしてどうにか切り抜けたわけさ!!」
本当は次回作を作る予定はなく、その場しのぎで口走った言葉だった。
だが 出任せで終わらせようものなら、彼は間違いなく自身の顳顬に鉛を撃ち込んでいただろう。
……僕への失望とともに。
「彼はどん底で、それを救えるのは僕の次回作だけ。もうやるしかないだろう?」
僕は何としても映画を作らなければならなかった。
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/
作成日時:2021年3月21日 18時