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ジョゼフさんに助言をもらってから、僕は毎日 撮影機を運び、色々なシーンを撮り始めた。
食事風景、朝露の滴る花、口喧嘩をするフレディさんとピアソンさん……エトセトラ。
今日は庭で花の手入れに勤しむエマさんを撮ることにした。
映画撮影の練習をしたいと言ったら、快くOKしてくれたのだ。
彼女は緊張気味にこちらをチラッと見た。
僕は「いつも通りでいいよ」と声をかけ、フィルムに収めていく。
ピントを合わせるタイミング、ズームイン、ズームアウト、そして役者の表情。
改めて一から始めてみると、本当に難しい。
「──ありがとう。おかげでいい感じに撮れたよ」
「なら良かったの。
また手伝ってほしい時はいつでも頼んでなの!」
「うん!」
撮ったフィルムを大切に持ち帰る。
途中でピアソンさんに高額で売って欲しいと頼まれたが、丁重にお断りした。
……何処で見ていたんだ、あの人。
「やあ、A君」
「あっルカくん!」
部屋に戻る途中、ルカくんと出会った。
彼は僕の撮影機を見るなり興味津々な顔つきになる。
「いつものかい?」
「うん……撮影の練習と研究さ。さっきエマさんを撮らせてもらっていたんだ」
そう言うと、ルカくんは少しムッとした顔をした。
「それなら私に言えばいくらでも被写体になるのに」
「色々なものを撮影して、もっともっと素敵な映画を撮れるようになりたいからね」
「でも、私を撮ったことは無いだろう?」
「無いけど……」
「なら私でもいいじゃないか」
「何か…グイグイ来るね!?」
ルカくんはジトっとした目で私を見つめている。冗談で切り抜けようにもそうはいかないみたいだ。
……もしかして、役者希望だったりするのかな?ならば是非とも出てほしいけれど。
「言っておくけれど、君の考えていることとは違うからね」
「以心伝心?」
「君は分かっていないじゃないか」
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/
作成日時:2021年3月21日 18時