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翌日何も言わずに依頼主のもとへ行った
ひとらんらんを連れてくることができるかもしれないことは誰にも言わなかった
可能性があるだけで確実に連れてくることができるわけではなかったから
無駄な期待はさせない方がいいだろう
依頼主の館につくと使用人らしき人物に応接室に案内される
館の外観に可笑しいところはないが、この応接室は甘い匂いが充満していた
花のような匂いだが、どこか人工的にも感じる
万が一のため、なるべく呼吸をしないようにする
しばらくすると依頼主が部屋に入ってきた
依頼者を見たあと、斜め後ろに視線を移す
その視線の先には依頼人が連れてきた護衛が二人いた
口はマスクでおおわれており、目元しか見えていない
が、そのうちの一人は何度も資料で見たひとらんらんで間違いないだろう
虚空を見つめる瞳に違和感を覚える
「本日はご足労いただきありがとうございます。」
『前置きはいい。依頼内容を聞こう。』
依頼主はふふ、と上品に笑い扇子で口元を隠す
目の前の机に紙を広げだす、どうやら地図のようだ
依頼主は地図上の赤い丸を指さして言う
「ここは私の敷地なのですが、最近ここにたむろしている人たちがいましてね。
その方たちを始末してほしいのです。よくないものを売っているみたいなので。」
『…分かった。』
「始末後の報告は不要です。報酬も先に払いますわ。」
にっこり笑う依頼主に若干の寒気を覚える
とりあえずひとらんらんを要求してみるしかない
『報酬に関してだが、こちらで提示してもいいか。』
「もちろん、用意できるものなら。」
後ろのひとらんらんを指さす
依頼主はその視線を追うことなくこちらを見て笑っていた
『彼をもらえるか。』
「あら、始末人様は随分と物好きなのですね。」
上品に口元を隠す依頼主と一切表情を変えないひとらんらん
その様子にやはり違和感を覚える
事前の情報で得ていた彼と全く違いすぎている
動揺していない彼を見ると、私が彼を要求することは予想していたのだろうか
その確率は低いものだと思うが
私が元我々国の幹部を救出していることは外部の人間だと情報屋くらいしか知っていないはずだ
あいつがそれを広めると思えない
だとしたら誰かが私の動向を観察し、それに気づいたか
なんにせよここでひとらんらんを貰えれば楽になる
『いいか。』
「えぇ、もちろんですとも。このお人形でいいのなら。」
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライ - すごく面白いです！すごく大好きです！主さんのペースでこれからも頑張ってください！ (2022年3月27日 22時) (
レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品リメイク前から大好きです！これからも応援しています！！ (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年3月9日 23時
