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微かに聞こえてくる鳥の声で目が覚める
起き上がって明るくなった空を見上げた
ベッドから立ち上がって椅子に腰かけた
机の上に散乱した便箋を手に取った
読むわけでもなくそれを眺めた
独学で身につけたお世辞にも綺麗とは言えない文字で埋められている
便箋を折って封筒の中に入れて机の上に置いた
次に隣にあった資料を手に取ってグルッペン･フューラーのページを見た
戦争屋で甘味好き、国民に愛された総統
今となってはどうでも良い情報を目で追った
彼等は今後どうするのだろうか
全員揃ったら一体何をするつもりなのか
再建国？いいや、彼等にそれは難しいだろう
失うことの苦しさを知ってしまった彼らには出来ない
パサッと投げるように資料を置いた
机に伏せて思考することを放棄する
考えたところでどうでもいい事だった
私には彼らの今後などどうでもよかったから
コンコン、と小さくノックの音が聞こえる
無視してそのまま机に伏せているとドアが開く音がする
誰かが入ってきたようらしいが敵意を感じられなかったので伏せたままでいた
その誰かは部屋を歩き回っている
何かを探しているのだろうか
暫くすると肩に何かがかけられる
薄らと目を開けて確認するとブランケットだった
薄らと開いた視界の先に居た彼に問いかける
『お前は何故生きる。苦しみに耐えてまでなぜ生きるという選択をした。』
仲間思いで正義感が強く、だからこそ仲間からの信頼も厚い
そんな彼だから敗戦して国が無くなったときのショックは大きかっただろう
そうだろう、トントン
『教えてくれ。』
体を起こして赤い瞳を真っ直ぐ見つめた
トントンは迷う事なく口を開く
tn「確かに苦しかったし辛かったで。これ以上生きとっても無駄やろなって思ったこともあった。
やけど、傍にあいつらがいたし何よりグルさんが死ぬことを許してくれんかった。」
『…グルッペン･フューラーが？』
tn「何度も、何度も言うんや。瞼を閉じるとグルさんが現れて"生きろよ"って。
捕まる前、最後に放った言葉が何度も何度も頭の中で再生される。
その言葉を聞く度にあの人を守れなかった罪悪感に襲われたけど、それと同時に生きなあかんなって思うんや。」
まるで呪いだ
死ぬことが許されない呪い
tn「だから俺は生きる。」
彼奴らもずっと傍におってくれたしな、と笑う
私にとっての呪いが、恐らく彼にとっては全く別の何かだったらしい
その何かがなんなのかは分からないが
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ライ - すごく面白いです！すごく大好きです！主さんのペースでこれからも頑張ってください！ (2022年3月27日 22時) (
レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品リメイク前から大好きです！これからも応援しています！！ (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年3月9日 23時
