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静かになった部屋で再び林檎を頬張る
しかしその静寂は一瞬にして途絶えた
ノック音と共に開いた扉の先には情報屋が立っていた
情報屋は足早に部屋に入ってきて先程と同じ位置に腰掛けた
『何の用だ。』
a「一つだけ聞きたいことがあって。」
背もたれに体を預けて相当寛いでいる情報屋
いつでも笑顔を浮かべている顔が少し曇ったのが分かった
a「始末人さん、死ぬつもりだよね？」
聞きたいといいながら質問ではなく確信を持った声だった
しばらく情報屋の顔を見つめたあと、小さく息を吐くように呟く
『そうだ。』
a「…そっか。」
そう言って眉を下げて笑う情報屋
情報屋に隠し事ができるとは思っていなかった
こいつの腕は誰よりも私が知っている
それに私自身もそれを隠すつもりはなかった
『お前はどこまで知っている？』
a「そんなに多くは知らないよ。
始末人さんが各国共同で行っていた極秘実験の被験者だったこと。
ある日研究所にいた人間全てが死んでいたこと。
そして、」
『もういい。』
続けようとする情報屋を遮る
蘇りそうな記憶を再び奥底に押し込む
そんなに多くは知らない
だけど情報屋は起こったこと全てを知っているはずだ
情報屋の腕の良さは確実なのだから
a「勝手に調べたこと、怒らないんだね。」
『隠すつもりはなかった。
それに隠したところでお前には意味ないだろう。』
a「…死ぬことは決定事項なの？」
『…グロル国の狙いは恐らく私に変わるだろう。
炭鉱襲撃の罪も全部私に擦り付けるはずだ。
そのうち国際的に指名手配される、確実にな。』
グロル国もそれくらいのこと思いつくだけの能はあるはず
始末人が炭鉱を襲撃し、迎撃しようとしたグロル国兵士も多く犠牲となった
そう発表されればグロル国は私を処刑する口実が出来、更には敵国との関係改善も有り得る
『しかしこれが私の目的、始末人の終着点だ。だからこれでいい。』
a「死ぬ事が？」
『…正確に言えば多くの人間に恨まれて死ぬこと。
始末人はその目的を達成するためだけに始めたことだ。』
a「…なるほどね。」
情報屋は脱力して天井を見上げるように顔を上げた
これはただの自己満足にすぎない
それは誰より私が理解している
それでもそうでもしなければ私は死ぬことも生きることも出来ない
生きるという選択肢は残っていなかった
私にはこの世に居続ける理由も何も無かったから
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ライ - すごく面白いです！すごく大好きです！主さんのペースでこれからも頑張ってください！ (2022年3月27日 22時) (
レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品リメイク前から大好きです！これからも応援しています！！ (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年3月9日 23時
