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ut「"馬鹿だな"って言われた時、俺は本当に自分が嫌になった。恥ずかしくて、仲間に申し訳なくて…。
…そうだ、馬鹿なんやわ俺、本当に。救いようのない馬鹿。
馬鹿だし無能だし、本当に生きてる意味が、」
そこまで言った鬱の口を抑えて続きを言わせないようにする
勝手に動いた手に驚きながらも、その続きを言わせてはいけないという思考で頭は埋まっていた
驚いた鬱は目を大きく開いてこちらを見る
『ない、など言うなよ。』
鬱の口を抑えた手を引く
鬱の口からは空気が抜けるようなか細い困惑したような声が漏れる
小さく息を吐き出し立ち上がって数歩足を踏み出す
『生きている意味が無い人間というのは、誰からも求められない、誰も救えない、世界から嫌われた人間のことだ。
誰の記憶にも残っていない、いてもいなくても同じ存在。
それが生きている意味の無い人間だ。
お前はどうだ？』
ut「…俺、は。」
『お前は本当に誰からも想われていないのか？
じゃあお前を救い出すために必死になったあいつらは一体何なんだ？
お前は本当に、生きている意味の無い人間だと言えるのか？』
振り返って鬱を見下ろす
鬱に私の影が落ち、深海のような青さを発していた髪の毛が黒く染った
鬱の胸元をつかみ引き寄せて立ち上がらせる
『お前は違うだろう。』
見開かれた2つの瞳が真っ直ぐこちらを捉えた
数秒静止した後、ぱっと手を離して元の位置に腰掛ける
呆然と立ち尽くした鬱を横目で見た
鬱はふっと見開いた目を細めて小さく笑みを浮かべる
ut「そうや、そうやな。俺は生きる意味の無い人間なんかじゃない。
だって俺らにはアイツらがおる、そうやった。
ありがとうな、Aさん、あんたの言葉はよく響くわ。」
隣に腰かけて潤った目元を拭いながら言う
私は足を組んで小さく息を吐いた
どうやら本調子まではまだ程遠いようだ
喋るだけで疲れが生じるとは
ut「そういえば自己紹介がまだだったな。
俺は鬱、よろしくAさん。
さてと、俺はそろそろ寝るわ。体調はよ良くなるといいな。おやすみ。」
立ち上がって去っていく鬱を見送りもせず月を見上げる
生きている意味がない
それを咄嗟に止めたのは恐らくあの頃の癖
両手に視線を落とすが、そこにはただ私の手だけが存在していた
繋がれていた手はもうありはしない
私にはもう誰も居ないのだと、静かな夜の空気に突きつけられた
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ライ - すごく面白いです！すごく大好きです！主さんのペースでこれからも頑張ってください！ (2022年3月27日 22時) (
レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品リメイク前から大好きです！これからも応援しています！！ (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年3月9日 23時
