116＿手紙 ページ18
3人の名前はミラ、カルア、ハントという。
ミラは私より2、3歳上の少女、カルアとハントは10代後半くらいだったと思う。
この3人は間違いなく、私の人生の中で最も大事な人達だったし、世界の全てだった。
当時私は初めて誰かと同じ牢に入れられたものだから3人を警戒していた。
そんな私にミラはお構いなく話してきた。
無感情兵開発実験にいるとは思えないくらい感情豊かな人だった。
弾けるような笑顔がとても眩しくて涙が溢れ出しそうになったことを今でも覚えている。
名前が無いと言う話をしたら、ミラは私にAという名前をくれた。
とても明るくて優しい少女だった。
カルアとハントは2人で旅をしていたらしい。
旅の途中で急に襲われ何故かここに連れてこられたと言っていた。
だから2人は色んな話をしてくれた。
外の世界を全く知らない私に。
青く何処までも広がる海というもの、空から降ってくる冷たい雪というもの。
当時の私には牢獄のような実験室が世界の全てだったか、それすらも知らなかったのだ。
彼等の話は楽しかった。
見たことない世界を実際に見ているような、そんな力が彼等の話にはあったのだ。
そして私達はいつか4人で世界を回ろうって約束した。
無感情兵開発実験は無痛の方と比べて機械的なものは少なく暴力が多い。
それ以外にも感情がない方が良いと思わせるほどのトラウマを植え付けられたりする。
それはもうとんでもないことをされた。ここに記載することは控えておく。
無痛の方とは違い実験が行われる時間が決まっていて9時から始まり17時には終わる。
それ以降は何もされなかった。
恐らくそれはは思考させるための時間を確保するためだったと思う。
自分の置かれている状況を理解しそして感情を放棄させるための時間。
しかしその時間に私たちはたくさん話した。
誰かが挫けそうになった時は他の人でその人を励ます。
誰かが泣き出してしまった時は一緒に大泣きする。
先がわからず狂いそうになった時はいつかここから解放された時、何がしたいかを語る。
必ず生きて自由になる。そして4人で幸せになろう。
そうやって支え合って過ごしてきた。
この3人とならやっていけるって思った。
いつかここから抜け出して一緒に世界を見れるって思っていた。
しかし世界はそんなに甘くなかった。
それが当たり前であるかのように、世界は私達に試練を与えた。
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あまね(プロフ) - めちゃ泣いたしもうなんなん？？？ってなるくらい大好きです。完結おめでとうございます😭 (2月13日 16時) (
レス) @page46 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めて読んだのですが、一気に見てしまいました。とても面白かったです‼ (2月8日 20時) (レス) @page46 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
ふぢ(プロフ) - 初コメ失礼します。最初から最後まで続けて全部読ませて頂きました。読む中で何回鳥肌がたったことが…、本当に素晴らしい作品で思わずコメントしてしまいました。この作品が大好きです。またどこかの作品で出会えることを祈っております。 (2月3日 19時) (レス) @page46 id: a0c70ee8ae (このIDを非表示/違反報告)
オレオ(プロフ) - 完結おめでとうございます。もう壮絶なストーリーで涙が止まりませんでした。読み終わった頃には目はパンパンになって、ティッシュの山ができてました 笑。今まで読んできた小説の中で1番心に残りました…(発想力とか諸々込みで……)本当に素晴らしい作品でした！ (2023年2月3日 22時) (レス) @page46 id: fd2a9300ff (このIDを非表示/違反報告)
無花果 - 完結おめでとうございます。占ツクでこんなに完成度の高い作品に会うのは久しぶりです！ラストは涙が止まりませんでした…本当に素晴らしい作品です！ありがとうございました‼ (2022年12月30日 8時) (レス) @page46 id: 1779bf32c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年11月11日 21時
