4.目に留まるチラシ ページ5
＜ベッキョン＞
俺が急いで店に入ろうとしたせいで、店から出て来たこの女の人とぶつかってしまったようだ。
「す、すいません…！」
「あ、いえ、こちらこそ…」
慌てて、地面に散らばった紙を拾う。
ふと、その紙の文字に目が止まる。
『被験者募集』…
なんか、怪しい。
「…あの、それ、下さい…」
「え、あ、すいません」
つい持って見てしまっていた紙を、慌てて女の人に渡す。
「A、大丈夫？」
しゃがんでいると、上から男の声がする。それは、どうやらこの女の人に向けられた声っぽい。
「ギョンス…うん。ぶつかっただけ」
全部紙を拾い終わった女の人が立ち上がったので、俺も同じように立ち上がる。
ギョンス、と呼ばれた人は俺の方を向いて、
「すいません、Aが」
と言った。
エプロンをしているから…ここの店員だろうか。
「いえ…俺も、走って入ったものですから」
などと言っておく。
「拾っていただきありがとうございます…では」
女の人はそう言って、店を出て行った。
…なんだったんだろ、あの紙。
少し不思議に思いつつ。
「えぇっと…いらっしゃいませ。どうぞお座りください」
ギョンス、は、俺にそう言ってカウンター席を促した。
言われたように、席に座る。
「メニュー表どうぞ」
「あ…ハンバーグ、390円って…まだありますか？」
「あぁ、はい。最後の１つです」
「じゃあ、それで！」
よかった、間に合って。
「かしこまりました」
ギョンス、はそう言うと、奥の方へ入って行った…厨房かな。
うーん、と伸びをして、店内を見回す。
俺以外に客はいない。
でも、俺でハンバーグラストとか言ってたから、客は結構来るのかな。
なんて考えながら店内を見ていると。
「…あ、さっきの」
女の人が落とした紙。それとおんなじものが、コルクボードに貼ってある。
暇だし、と思って、それを読んでみることにした。
『被験者募集。
新しい試験薬の被験者を募集します。興味のある方は下記のURLから必要事項を記入の上ご応募ください。後日、お電話にて面接の日程を決めさせていただきます。
対象…20才から30才程度の心身共に健康な男性。3ヶ月間こちらが指定した家に住むことができる方。恋愛経験の豊富な方。
謝礼…
100万円』
「ひ、ひ、ひゃくまんえん！？！？！？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「K-POP」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2022年2月6日 2時
