金木犀に包まれて (ページ23)

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22.教えてページ23

＜ベッキョン＞

…ヤバい。理性が、非常に、ヤバい。

好きな子にこんなにくっつかれて、ヤバくないわけがない。

「んふふ…べっきょん、って、おとこのひとなんだねぇ」

「…何言ってんの」

そうだよ、俺、男なの。

「ゆび、きれいでね…おんなのひと、みたいだなぁっておもってたの」

Aが、俺の手をぎゅっと握ってくる。

「でも、ちゃんときんにく、ついてて…おとこのひと、なんだねぇ」

「…そーだよ」

我慢の、限界だ。

俺は、握られた手をギュッと握り直し、そのままAをベッドに押し倒した。

「へ…？」

「俺、男なんだよ。男に、こんなことしてどうなるか、知ってる？」

…脅すだけ。

ちょっと脅して、あまり俺のことを揶揄うなって、分からせるだけ。

「こんなこと…？」

「俺を誘うようなこと！しかも俺、言ったじゃん。Aのこと好きだって。好きな子にこんなことされて、興奮しない男はいないの」

見下ろせば、頬を赤く染め、とろんとした目で俺を見上げるA。

今すぐ、めちゃくちゃにしたい…と思う心を必死で抑える。

「こうふん…してるの？べっきょん…」

「…そーだよ。今すぐめちゃくちゃにしたい。でもAは嫌だろ。そういうことしたことないんだろ」

だから…俺を、そんな顔で煽らないでくれ…

「そういうこと、って…？」

…本当に知らないのか？

もう24歳なんだし、そういうこと、の意味くらい、知ってるはず。

「…えっちだよ。えっち。Aはしたことないだろ」

「べっきょんは、あるの…？」

「…あ、あるよ、そりゃ。付き合ったことあるって言ったろ」

「じゃあ、どうやってやるか、知ってるってこと…？」

「…あぁ！！知ってるよ！！！だから無理やりしちゃいそうになるんだっつーの！！！」

どんだけ質問責めしてくんだよ！今自分がどういう状況か分かってないだろ！！

…ダメだ。話が通じない。さっさと、退かなきゃ…

「じゃあ…教えて…？」

「…は？」

…今、この子、なんて言った…？

「私に…教えて、えっちの、しかた…」

…聞き間違いじゃないよな。

「ずっと…羨ましかったの…ベッキョンなら、いいから…だから…」

「…い、いや、あの…」

待て、Aは酔ってる。だからこんなこと言っちゃうんだ。

目が覚めた時、きっと後悔する。後悔する初体験なんて…

「もう酔ってないよ、ベッキョン。…しよ？」

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