19.あったかい ページ20
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「元気になったみたいでよかった！また、様子見に来ますね！」
私が作った薬を服用している人の元を訪ねて、様子を見回って。
今日は少し遠い場所まで来たから、ついでにその近くでご飯でも食べようかなって思って、夜ベッキョンを誘った。
ベッキョンは、これからどんなふうに私を愛してくれるんだろう。
本人の前では隠してるけど、本当は楽しみで、少し浮き足立つ。
愛かぁ…どんなものだろう。
身体が宙に舞う感じ？全てが輝く感じ？
そんなことを聞いたことがある。
それは、人工的には作れないのかな。
そんなことを考えながら、待ち合わせの駅に向かう。
改札を出て、きょろきょろとベッキョンを探すと。
柱にもたれかかってスマホをチラチラ見ながら周りを見回す、ベッキョンがいた。
こうやって見ると…かっこいいなぁ。
いつも2人で住んでるから、あまり感じないけど。
普通の人の中にいると、キラキラ光ってるように見える。
あんなかっこいい人に…私は愛されるのかぁ…。
そう思うと、嬉しくなってくる。
「ベッキョン！」
手を振りながら、ベッキョンに向かって走る。
私に気付いたベッキョンは、柱から身体を離して、微笑みながら軽く手を振ってくれる。
やっぱりかっこいい…と。
「うわっ！」
石につまづいて、こける…！と思った時。
「おっと」
ふわっと、温かさに包まれる。
「大丈夫？」
近くから聞こえる、ベッキョンの声。
「あ…ありがと」
ベッキョンに…抱き止められてる。
女性みたいな綺麗な手をしてるなぁって思ってたけど…身体は、ちゃんと筋肉を感じる。男の人だ。
初めて、男の人の腕に…
「A？」
「あ…ごめんごめん」
名前を呼ばれて冷静になって、ベッキョンから離れる。
「もう…おっちょこちょいなんだから」
「えへへ…ごめんね、待たせた上に。行こ！お店予約してあるから」
「うん…」
歩き出す私についてくるベッキョン。…何やら、視線がいつもより下を向いてる気がする。
「人多かった？」
「…あぁ、うん」
返事も、少し遅い。
「どうしたの、ベッキョン。なんかあった？」
「え？なんかって…」
ベッキョンは、少し戸惑うような素振りを見せた後。
ぎゅっ
「？」
私の手を、繋いできた。
「…またこけそうになったら危ないから」
そう言って、私の手を引いて少し前を歩き出すベッキョン。
…あったかい。
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作者名：LUKE | 作成日時：2022年2月6日 2時
