金木犀に包まれて (ページ15)

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14.同居2週間でページ15

＜ベッキョン＞

同居して、2週間。

Aちゃんは、ちょっと…いや、かなり、変わった人であった。

料理できないと言っていたくせに台所に立って何かしているから覗いてみれば、機械にバターを乗せて、ちまちまと包丁で削っていた。

「…何してんの？」

「…パウンドケーキ、作る…あっ、足しすぎ…」

「そ、そう…何、その機械…」

「電子天秤…あ、このレシピ、重さに有効数字書いてないんだけどどうすればいい？」

「え…なに？有効…？」

いくらお菓子作りとはいえ、そこまで緻密にやる必要は無いんじゃないか。

どうやら彼女は化学者らしいから、気になるんだろうな。

とか思ってたら、出来上がったのは、真っ黒に焦げてカチカチの物体だった。

「…うぅ…なんで…」

めそめそと落ち込むA。

…可愛い。

不器用な女の子ってさ、良くない？

しかも、あれだけ丁寧にやってたのに失敗するって…天才じゃん。面白い子。

別の日。

その夜は、外に一緒にご飯を食べに行こう、ということになり。

お酒を飲みながら、2人で向き合って会話をしていた。

「へぇ、そうなんだー。で、ベッキョンは、何て言ったのー？」

「えっと…あの…そんな、見ないでもらって、いい…？」

「え？なんで？」

「いや…俺、なんか付いてる？」

「何も？」

…酔ってんのか？

俺の目を穴が開くほど見つめてくるA。

まつ毛長くて、アーモンドアイの綺麗な目。

そ、そんなに見られると…なんか緊張するんですけど。

彼女に見つめられるたびに、ドクン、ドクン、と高鳴る鼓動。

まるで、彼女に見られることがトリガーのように、心臓が動き出す。

そして、とある日を境に。

彼女は、おしゃれをするようになった。

そして、「実験室に行ってくる」と言って、出かけていく。

…本当に？

俺は、モヤモヤしていた。

「…A、さ」

「ん？」

「好きな人でも、できた？」

「え？」

「いや…なんでもない」

つい、本人にもそんなことを言ってしまうくらい。

こんな感覚、俺は、初めてだった。

彼女が、おしゃれをして、出かけていく。

誰に会いに行くんだろう。まさか、あのギョンス、ってやつのところ？

バイト中も、ずっとそんなことを考えている。

「…そりゃ、お前、その子のこと好きなんだろ」

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