金木犀に包まれて (ページ12)

今日:1 hit、昨日:19 hit、合計:7,087 hit

11.始まる同居生活ページ12

.

ビョンベッキョンさん。24歳男性。職業、歌手。

私に惚れてもらう人は、この人に決めた。

「ふんふふ〜ん♪」

ウキウキで鼻歌を歌いながら、掃除機をかける。

今日から、ベッキョンさんとこの家で暮らす。

ここは、実験のために借りた家。普段は住んでいない。

普段は…あの地下に実験室がある実家で暮らしている。

やっぱり、一緒に住んで、たくさん一緒の時間を過ごして、ベッキョンさんのことを早く知りたいし。

何より、愛、されているのを、いっぱい感じたい。

「よし、掃除機終わり、っと…」

ベッキョンさんが来るまで、まだ時間がある。

その間に…予習予習っと…。

さっき届いたダンボールいっぱいに詰まった、恋愛漫画や小説。

実家に住んでいるうちは、教育に悪い、知識の無駄、恋愛を学ぶ暇があるならもっと違うことを学べ、と禁止されて、逆らうと何されるか分からないから、丁寧にそれを守って来た。

新しい実験をしたいから、3ヶ月だけ実家から出させてほしい、と頼み込み、なんとか一人暮らしを獲得したんだから…まぁ、今日から二人暮らしになるけど。

初めて、恋愛漫画を手に取る。

…あ、この絵の男の人、ベッキョンさんに似てるかも。

犬系彼氏…？どういう意味だろう。

表紙を開く…と。

ピンポーン

読み始めようとした時、チャイムが鳴る。

「はーい！」

時計を見ると、少し早いけど。

インターホンを見てその姿を確認し、エントランスを開く。

ピンポーン、と今度は玄関のチャイムの音がして、ドアを開ける。

「あ、こんにちは…今日からお世話になります！」

「いらっしゃい…じゃなくて、おかえりなさい」

「はは、おかえりなさい、かぁ…そうですね！ただいま！」

スーツケースを持ったベッキョンさんはそう言って、家に入ったくる。

今日から、この人と一緒に生活するんだ。

「ここが、ベッキョンさんの部屋です」

「わぁ…広っ！ベッドデカっ！ほんとにいいんですか！？」

「えぇ…どうぞ」

ベッキョンさんの部屋になるところを案内すると、興奮したようにはしゃぐベッキョンさん。無邪気で可愛い。

「ベッキョンさんが送ってくださった段ボールはそこに置いてありますから…ある程度荷解きが済んだら、リビングに来てください」

「はーい！」

私が部屋を出てドアが閉まる直前、チラリとベッキョンさんを見ると、思いっきり、ベッドにダイブしていた。

…犬だ…。

.