9.心配な弟 ページ10
＜セフン＞
ピーピー…ガチャッ
「ただいま〜ヌナ〜ビビ〜」
玄関を開けると、珍しく真っ暗で。
「わんっ！」
暗闇から真っ白なビビが飛び出してくる。
「ただいま、ビビ…Aヌナは？」
「わんっ！」
「わんっ！、じゃ分かんないね〜よしよし」
もふもふのビビを抱き上げ、キスをして仕事の疲れを癒す。
「何してんだろーね、ヌナ」
明かりを付けつつ、リビングに向かう。
帰ってきてAヌナがいない、なんて珍しい。
最近は仕事が忙しくて家事がままならないから、代わりにヌナが一緒に住んでくれてて。
帰ったらあったかいご飯が待っててお風呂もバッチリ沸いてて…って。そんな幸せな空間を作っておいてくれてるのに。
まぁ、もういい大人だし。
ヌナがどこで何してようがどんな男とほっつき歩こうが…
「いや、それは心配！！」
「わんっ！」
最近のヌナってば、仕事人間で男の気配なんて無いけど…
いつか、朝まで帰ってこなくて…やっと帰ってきたと思ったら二日酔いっぽくて知らない男の匂いさせて帰ってきたこと、あったっけ。
前の恋人と別れてから、なんか色々荒んじゃって心配。
スマホを開き、なんやかんや便利だからと入れている位置情報共有アプリでヌナの位置を確認…
「…げ」
壊れて、ないよね、これ。
GPSってまだまだ正確じゃ無いからなぁー…なんて。
そこが示すのは、ラブホテル、と書いてある場所…
誰。
ヌナ、今彼氏なんて…
いつも、良い人いないのかって聞いたら一応って感じで言ってくる男、いるけど…そいつ？
いや、でもヌナの話を聞く限り、その人は付き合ってもないのにホテルに行くような男じゃないっぽいし…
じゃあ、誰。
「…ビビ、ごめん、もうちょっとだけ留守番できる？」
「わんっ！」
「帰ってきたらおやつあげるから、待っててね。Aヌナ連れて帰ってくるからね」
「く〜ん♪」
言葉が通じてるみたいに、ビビは嬉しそうに舌を出している。
わしゃわしゃと一通り撫で回して、車の鍵を手に取る。
「じゃあね、ヌナ迎えに行ってきます」
「わんっ！」
ビビに見送られ、また家を出る。
はぁ…大丈夫かな、ヌナ。変な男に襲われたりとか…
意外とヌナって抜けてるところあるもんなぁ…。
ホテルの前に着き、GPSがまだここを示していることを確認して電話を掛ける。
「もしもし、ヌナ〜？」
.
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
