8.犬好き、通じる ページ9
＜ベッキョン＞
「そっか…そう、だよね、はは…」
俺がぎこちなく笑うと、Aは顔を上げて俺を見た。
「…あんたのとこの、犬は」
「え？」
Aはまた目を逸らす。
「モンリョン、だっけ」
「う、うん、そう、だけど…」
…すげぇ、今、Aと、仕事以外の話、してる…！？！？
「コーギー…？」
「うん…ビビ、ちゃんは…？」
「ビションフリーゼ」
「へぇ…！」
なんだか、嬉しくて。
お互い素っ裸なことも忘れて、俺はAに向き合う。
「犬、好きなの？」
「…まぁ」
「そっか…ビビちゃんとはいつから一緒に暮らしてるの？」
「今、弟が仕事で忙しいから預かってるだけ」
「弟…」
A、弟がいたのか…！？
やばい、思わぬ、新しい情報。
「弟さん、いくつ？」
「…それ教える必要、ある？」
…あ、しまった。
犬以外の話題は…ダメ、なのかな…。
「はぁ…無駄話が、」
「写真、見せて！」
「え？」
Aとこんなに話すことなんてなくて、ついつい調子に乗って、話してしまう。
せっかくまともに話せてるんだから、せっかくだから、もうちょっと続けたい、と。
「し、写真…」
Aはカバンからガサガサとスマホを取り出し、軽く操作して、俺の方におずおずと差し出してきた。
「わぁ、可愛い…！」
真っ白なわんちゃんの写真が、スワイプしてもスワイプしても出てきて。
こりゃ、相当好きなんだな…と、伝わってくる。
「で、でしょ…？」
そう言いながら、見上げるAの顔…
どこか、嬉しそうで。
また、胸がキュン、となる。
…やば。
「…A」
「ん？」
犬の写真に気を取られてたけど…まだ、俺たちは裸で。
Aはそれに気づいてないのか、俺の方を見上げて…
「…もう一回、させて」
「…はぁ！？」
俺はたまらず、Aを押し倒す。
「ちょ、ダメ！！早く帰らないといけないって言ってるじゃん！！」
「ごめん、すぐ終わらせるから…！」
普段はさっさとAが帰るから、2回戦なんてやったことないけど…
俺のは、完全に臨戦態勢になってるから。
「お願いっ！もう興奮しちゃってるから！」
「はぁ！？1人で処理してよ！！」
「それができたら俺らこんな関係になってないでしょ」
俺がそう言うと、Aは黙る…おっと、初めて、黙らせたぞ。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
