リンドウと犬 (ページ7)

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6.彼女はいつも通りページ7

＜ベッキョン＞

それ以降。

今までは、身体だけ、と思っていたのに…

俺は、俄然彼女自身に、興味が湧いてしまっていた。

その一方で、Aの方は何もなかったかのように、今までと同じ。会社では他人のフリをしていた。

『今日、いい？』

『いいよ』

どちらが送るかなんてどうでもいい、そんな簡潔なやり取り。

彼女の一面を見たあの日からは初めてホテルで2人きりになることになり。

俺は…今までになく、なんだか、緊張していた。

いつものように、仕事が終わって、先にホテルの部屋で待つAの元へ向かう。

…その部屋のドアを開ける手が、いつになく強張っている。

ただの身体の関係、だけではなく…恋愛対象として、彼女のことを見はじめているのだ、と。

その手が、物語っているようで。

　ガチャ

ドアを開けると、いつものように、彼女がバスローブ姿でソファに座って、スマホをいじりながら待っていた。

「お、お待たせ…」

「ん」

彼女はこちらに目線をやることもなく、スマホをいじったまま。

普段なら俺は真っ先にさっさとシャワーを済ませるんだけど…

なんだか、彼女の着ている、真っ白でふわふわとしたバスローブを見ていると…

「…何してんの」

つい棒立ちになっていると、彼女はやっと顔を上げた。

「え？いや…」

白いバスローブに身を包み、腕を組む彼女…あの、真っ白でもふもふとしたワンちゃんを抱き締めてる、みたいな…

「シャワー、今日は浴びないの？」

そう言いながらAは立ち上がってこちらに近づいてきた。

「そのまま、したいの？」

Aはそう言いながら、俺のスーツのジャケットのボタンに手をかける。

その顔は、紛れもなくいつもの…真顔で。

あんな、ビビちゃんに向けるようなデレッとした顔と真逆、なんだけど。

「…なんか言ってよ」

その顔は不機嫌そうになり、俺のジャケットを脱がすと床にそれを投げ捨てる。

「はぁ…時間無いんだってば」

Aはめんどくさそうに俺のベルトに手を掛ける。

その手が…彼女は、身体の欲を満たすためだけに、俺と会っているのだ、と思い出させてくれて。

「…ごめん」

俺はAのバスローブの紐に手を掛け、シュルッと解いた。

そのまま脱がせて…露になる、身体。

…うん、これが俺のよく知る彼女だ。

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