49.夫婦になっても-最終話- ページ50
＜ベッキョン＞
Aと並んで歩く、休日の川沿い…のんびりした空気が流れる。
「いやぁ、気持ちいいねぇ〜…」
「うん、ほんと…」
本当は、もっと…遊園地行ったり、街中にショッピング行ったり…そんなデートも、したいけどさ。
こんなのんびりなデートも、悪くはない。
なんていうか…老後を、想定…なんて、気が早すぎる！！！…けど。
なんとなく…俺たち、長く一緒にいれそうな気がするんだ。
もうすぐ、1年続いた大きなプロジェクトが終わる。
付き合い始めてからも…1年くらい経つし…
それ終わったら、プロポーズ…なんて、考えている。
受け入れて、くれるかな…。
「あ…」
Aが小さな声を出し、ぼーっとしていた俺はハッとする。
視線の先には、茶色の野良猫。
…元々、猫派、だったんだっけ。
思えば…ミンソクさんも、猫に似てる…
Aは猫に近づいて、しゃがむ。
Aが手を伸ばそうとすると…
「にゃぁ〜」
猫は、甘い声を出してから、逃げるように去ってしまった。
「…元気でね」
Aは小さくそう呟いてから、立ち上がった。
「ごめん、行こっか！」
Aは立ち上がり、笑顔で俺に言う。
「…うん」
俺は頷いて、また歩き始めた。
…あの猫、ミンソクさんに似てたな…
そっと、Aの手を握る。
Aは、何も言わず、握り返してくれた。
…
それから間も無くして、プロジェクトが終わり、仕事が一段落したところで…俺は、Aにプロポーズした。
Aは、泣きながら、何度も頷いてくれて。
身体の関係から始まった俺たちは…晴れて、夫婦となった。
「あ、ヌナ、ベッキョニヒョン。幸せそうなところごめん、急なんだけどさ、明日から仕事で家空けるから、預かってくれない？」
「は、何言ってんのセフ、」
「わぁ、やったぁ、ビビちゃん！！…と…え？」
幸せな夫婦生活が始まった矢先、セフンがやって来て…
「ムッシュ。友達から引き取ったの。可愛いでしょ？」
「うわぁ…ムッシュっていうの！？可愛い〜！！！」
「え、ちょ、A、ねぇ、」
ビビに似た、茶色のもふもふ犬、ムッシュが…俺の敵に加わった。
「ムッシュ〜ビビ〜！！」
Aはデレデレと2匹に擦り寄る…
「ち、ちょ、A、俺にもかまって！！！」
「まったくもぅ…よしよし、ベクちゃん」
「え、えへへ…」
夫婦になっても…俺はAの飼い犬…なの、か…？
『リンドウと犬』 完
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
