44.交際許可 ページ45
＜ベッキョン＞
セフンに、今までのいきさつを懇切丁寧に説明する。
…姉のセ フレ事情とか、聞きたくないだろうけど。
とにかく、信用が大事だし…
嘘をつかず、ありのまま。
「えー…と、いうわけで、A…さんに交際を申し込みまして、本人からの了承も得た次第でございます…」
説明を終えて、恐る恐るセフンの顔を見る。
セフンは、はぁ、とため息をついて、頭を抱えていた。
「…複雑すぎ」
「す、すいません…」
「でも…あなたがヌナのこと、本当に好きなのは、伝わってきました」
セフンは顔から手を離し、俺を真っ直ぐに見る。
「でも…同じ会社って所が、まだちょっと引っかかります。あなたには恋愛感情を仕事に持ち込める程の権力が無い、とか言ってましたけど」
「あ、有るように見えます…？」
「いえ、見えないです」
はっきりと言うセフン…き、傷つくんだからな、俺だって…！！
「年下にプライドもなくスライディング土下座する人に権力があるように思えないし」
「うっ…」
ドストレートだな、ほんと…ちょっとAっぽい…と思うと、許せる。不思議。
「でも…あなた、仕事に支障が出るくらいヌナのことが好きって言いましたよね」
い、言った…なるべく、嘘はつきたくなかったし、そんくらい、Aのことが好きだってこと、伝えたくて…。
「それじゃ、同じことです。恋愛にうつつ抜かして仕事してません、なんて訴えられたら？」
「…はい…あ、いや、大丈夫、です！気をつけます！！」
「…はぁ…」
セフンはまた頭を抱える。
「…俺、もうヌナが傷つく姿、見たくないんです」
ボソッとセフンは呟く。
姉想いの、素敵な弟…。
ちょっと言い方冷たい所もあるけど…全て、Aのことを想って、だろう。
「…絶対、俺、Aを傷つけたりしません」
「どうやってそれを証明するんですか」
「証明…」
Aと同じで、難しいことを言う…けど。
「証明は、今すぐはできません」
俺はまっすぐにセフンを見て、そう言った。
「…うん」
「これからの行動で、示すしかない」
「…」
「セフンくん、これからの俺を、見てて欲しい。恋愛も仕事も、必ず両立させてみせる」
「っ、はぁーっ…！！」
セフンは全身の力を抜いて、ソファにもたれる。
「…そんな真っ直ぐに言われちゃ、何も言えなくなるんですけど」
「じゃあ…！！」
「…分かりましたよ。ヌナと付き合うこと、許しましょう」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
