39.恋愛しよう ページ40
＜ベッキョン＞
「…A」
俺は、箸を置いて机の上で組むAの手に、自分の手を伸ばして、重ねる。
「勘違い、しないで」
「え…？」
「俺、Aに恋愛しろなんて言ってないよ」
そう言うと、Aは少し潤んだ目を俺に向ける。
「俺と、恋愛しようって言ってるんだ」
そう言うと、Aはその目をまん丸にする。
「もっと言うと…俺が、Aと恋愛、したいんだ」
俺は、至って真剣だ。
「確かに、俺は口実に…セフンからのビビお触り禁止令を使ったよ。俺と付き合えば、ビビに触れるようになるよって。でも、あくまで口実だよ。勘違いさせたなら…ごめん」
「ベッ、キョン…」
届いたかな、俺の気持ち。
Aの目から、つぅっと涙がすべり落ちる。
…我慢できないな。
俺は立ち上がり、Aのそばに行って、抱き締める。
「俺と、付き合ってください」
そう、耳元で言ってみる。
Aは…
恐る恐る、コクリ、と頷いた。
「ま…まじで！？！？」
勢いに任せて言ったはいいものの…意外と思ったより早く帰ってきた返事に、つい驚く。
「そこまで言われたら…仕方ないじゃない」
Aはそう言って、少し恥ずかしそうに笑う…
「…それ、照れ隠し？」
「へ？」
「それとも、オッケーしたのは、本当に俺の勢いに押されたってだけ？」
そう言いながら、顔を近づける。
ちょっと面倒くさい奴、だろうけどさ。
ちゃんと、そこははっきりさせときたいんだ…ごめんね。
「…っ、ちがう…」
「ほんと？」
「…さっきのベッキョンが…男らしくて…っ、かっこ、よかったの…っ！」
顔を真っ赤にして言うA…あー！！！
「男？男らしかった、俺？」
ぎゅーっとAに抱きついて、いたずらするように詰め寄ってみる。
「も、もう言わせないで！恥ずかしい！！」
そう言って可愛い顔して俺から目を逸らすから…ますますイタズラしたくなる…！
「オスじゃなくて、男？人間の？」
「ば、馬鹿犬っ！！！」
「ははっ！！」
ぎゅうぎゅうと俺の胸を押してくるA。
あー…最高…。
「犬かぁ…わんっ！」
「…ぷっ…！」
Aは耐えきれなくなったように、笑う…
うん、その笑顔が、俺は大好き。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
