38. 恋愛しないつもり？ ページ39
＜ベッキョン＞
「がっつき方…ビビと一緒」
Aはそう呟いて、箸を持った。
…それは、褒め言葉と捉えて、よろしいんでしょうか…。
ぼーっと、Aの食べる姿を見る。
綺麗だな、箸の持ち方…食べ方も綺麗…。
「…どうしたの。お腹すいてたんじゃないの」
「う、うん…！」
つい見惚れていた俺は、慌てて料理を口に運ぶ。
美味しい…料理上手なんて…さすが…。
しばらく、美味しいAの手料理に舌鼓を打ち…
打ち…
シーン…
しまった、沈黙…！！！
せっかく一応はじめてのAとの食事なのに、料理に夢中になって…会話、しなきゃ。
「あ、明日、休日だよね…いつも、休みの日何してんの？」
そう、スタンダードな質問をしてみる。
「休みの日…何してたっけ」
Aはうーん、と考える。
「…最近は、ずっとビビと一緒に遊んでた…その前は…覚えてない」
「ビビ、ちゃん、か…」
さすが、としか言いようがないけど。
ビビとは、しばらく触れ合うの禁止にされちゃったんだよな。
「じゃあ…明日、どうするつもり？」
「んー…別に、何も」
何も、か…。
「じ、じゃあ…俺と、どっか出かける…？」
「…え？」
何もない休日…デートにもってこいじゃん！！
「ほら、せっかくだし…ショッピング、とか…」
「…誰かに、見られたら…」
Aは、オロオロと目を泳がせる。
俺と出かけるっていうところには、引っかかってないみたいだけど…
Aって、それしか言わないよな…
「もう、そればっか！」
「だ、大事なことじゃない！！」
まぁ…そう、だけどさ。
「大丈夫だって、見つかっても…言ったでしょ？俺に会社でAを贔屓するほどの力は無いって。だから飛ばされる心配も無いって」
「…で、でも…」
よっぽどトラウマなんだろうな、ミンソクさんと別れたこと…。
「…過去を引きずって、いつまでも恋愛しないつもり？」
俺は、そう聞いてみる。
「…別れるのが、辛いの」
Aは、箸を置いてそう言った。
「そんなこと言ってたら…いつまでも、前に進めないよ」
「分かってる…！けど…恋愛だけが、幸せじゃないし…」
いつも表情の硬いAが、眉を下げて困ったような表情をする。
「ビビといると、すっごく幸せなのに。どうしてセフナもベッキョンも、恋愛しろだなんて言うの…！！」
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
