36.うち来て ページ37
＜ベッキョン＞
俺は改めて…普通の恋愛とは、順序がぐっちゃぐちゃになっている、ということを思い出す。
「まだ…」
「ん？」
「…デートすら、してないな…」
「…は？」
俺が思わず口に出すと、チャニョルはポカンとした表情になる。
思えば、Aとはデートはもちろん…食事すら、一緒にしたことがない。
全てを飛び越えて…身体の関係を結んでしまったから。
「…お前、よく告白できたな…」
チャニョルは信じられない、という表情を浮かべる。
「マジで、この前言ってた、笑顔に惚れたってだけで、告白したの…？」
…と、身体の相性ですけども。
確かに…俺、Aのこと、全然知らないよな…。
「お前…焦りすぎだよー…確かに俺ら結婚考え始める年齢だけどさぁ…」
「で、でも！なんか、こう…運命的な何かを感じる、っていうか…！」
「ビビッと来たってやつ？」
ビビッと…ビビ、っと…
「えへへ…まぁ…」
ビビにデレデレするAの顔が思い浮かぶ…
「…顔、だらしなっ！気持ち悪っ！」
チャニョルに散々な言われようでも、俺は気にしない。
そのくらい、俺はAに惚れていて…よし。
俺はスマホを取り出し、LINEを開く。
『今晩、一緒にご飯でもどう？』
Aに、そう送る。
「え、何、今何した？」
「Aを、食事に誘った！」
「えぇ…」
終始、困惑する表情を浮かべるチャニョル。
「…よっぽどなんだな…」
そう言って、チャニョルはお茶を飲み。
「まー…そんだけゾッコンなら、応援するよ。ただし、ギョンスには見つかんないように、な！」
「チャニョル…うん！！」
親友の応援も得られ、嬉しい気持ちになった、と思ったら。
Aから、返信…
『外は誰かに見られるかもしれない。うち来て』
「…まじか…」
「え…まさか、断られた…？」
恐る恐る言うチャニョルに…今までのやり取りの部分は隠しつつ、Aからの返信を見せる。
「う、ち、来、て…えぇ！？！？」
「ちょ、声…！！」
またチャニョルは慌てて口を押さえる。
「何、Aさんって積極的！？完全に脈アリじゃん、これ！！！」
小声で叫ぶチャニョル…俺よりも興奮してる。
いや、俺も興奮してるけどね。
『分かった！』
そう返信すると、住所らしきものが送られてくる…
やば、緊張する！！！
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
