30.３つの選択肢 ページ31
＜ベッキョン＞
夜。
朝にAに言われたように、ホテルに向かう。
ミンソクさんの話を聞いたのもあって…足取りは重い。
どんよりした気持ちで部屋のドアを開けると。
「お待たせ…」
「あ…」
いつものバスローブ姿ではなく、スーツ姿で、Aはソファに座っていた。
今日は…する気は、ないんだろうか。
「…座って」
Aに促されるまま、向かいのソファに座る。
少し沈黙があって…Aが、決心したように切り出す。
「あのね…セフナに…言われたの…」
「な、何を…？」
「ベッキョンとの関係を正常にすることと、恋人を作ることの２つを満たさないと…ビビに、触らせないって…」
「…え？」
俺との関係を、正常に、って…
「それって…セ フレ、解消…！？」
俺が驚いたように言うと、Aは俯く。
そんな…会社ほぼ関わりが無い俺とAの、唯一の接点なのに…。
「そんな…」
…嫌だ。
せっかく、Aに…恋愛的に、興味が持てたというのに。
…まぁ…ミンソクさんの話を聞いて、Aの彼氏なんて荷が重いって思って…
じゃあ、今のセ フレの関係がちょうどいいって思ってたのに…！！！
「じゃないと…ビビに、触れないんだもん…」
そう言うA…俺とビビじゃ、ビビの方を優先するのは、当たり前…
「A」
俺は、こういう時の頭の回転は早い、というか。
勝手に、口が動くって感覚、なんだけど。
「Aには、3つ選択肢がある」
「…え？」
「１つ目は、ビビを諦めて、俺との関係を続けること。2つ目は、俺との関係をスッパリ切ること。３つ目は…
俺と、付き合うこと」
「…は？」
「１つ目は、難しいと思うよ。Aはビビが大好きだし。俺のこと犬だと思ってくれるなら、俺はビビの代わりになれるように頑張るけどね。
2つ目は、俺を諦める。でも、できるかなぁ。俺とAの身体の相性って、最高だよね。俺は辛いな。それに、切ったとしても、ビビと触れ合うためには新しく恋人を探す必要がある。
そこで、３つ目」
Aは目をパチパチさせながら、俺の熱弁を聞いている。
「俺と、付き合う。恋人、なら、正常な関係って言えるでしょ？そしてビビとも触れ合える。ほら、これが1番おいしいとこ取りだよ！」
我ながら…よくでっち上げたもんだ。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
