25.しばしお別れ ページ26
＜セフン＞
「1、その男との関係を正常にすること。2、恋人を作ること。以上2点が達成されなければビビに触る資格はありません」
俺はビビを抱いたまま、ヌナから少し離れる。
「くぅん…」
ビビはAヌナの方においでおいでって足をかいてるけど。
ごめん、ビビ。ヌナのためだから、協力してね。
「ヌナのためだから。いつまでも過去の恋愛引きずってちゃダメだよ」
「…」
ヌナは俯いたまま、膝の上で両手をぎゅっと握っている。
ミンソギヒョンのこと…いつまでも引きずって。
自分のせいでミンソギヒョンは別の部署に飛ばされたんじゃないかって、自分を責めて。
なんとかそのことを忘れようと、変な男に手を出した。
俺にはそう見える。
…ダメだよ、Aヌナ。自暴自棄になっちゃ。
もう一度、あの頃の笑顔を取り戻して。
今のヌナは、嫌い…ビビの前でしか笑わないし、俺にトゲトゲしてるし。
俺の大好きなヌナ…帰ってきて。
「…セフナの、言う通り…一歩、踏み出さなきゃ、ダメよね…頑張って、みる…」
ヌナは少し顔を上げてそう言った。
「うん、応援してるよ」
俺は微笑む。
「わんっ！！」
ビビも応援するように、ヌナに向かって吠えて、ジタバタと暴れる。
…今日は、いいか。
ビビを降ろすと、ビビはまっすぐにAヌナの元に向かう。
「くぅん…」
「ビビ…ヌナ、頑張ってみるよ」
「わんっ！」
「ふふっ…しばらく会えないけど、元気にしててね…」
ヌナの膝の上に乗り、ペロペロとヌナの顔を舐めるビビ。
ヌナもビビにキスをして、撫で回す。
しばしのお別れ…どのくらいになるか、分かんないけど。
翌朝。
「じゃあね、ヌナ。お世話になりました」
「くぅん…」
「うぅ、ビビ〜…またすぐ会えるからね〜…」
俺なんかチラリとも見ず、ビビとのお別れを惜しむヌナ。
「次会う時はヌナの彼氏見せてもらおうな〜、ビビ〜」
「わんっ！」
「うっ…が、頑張り、ます…」
「うん。じゃ、そろそろ…ヌナも会社行く時間でしょ？」
「あ、時間、やば…」
まったく…会社ではエースって言われてるみたいだけど、ヌナは結構抜けてるところがある。
「しょうがないなぁ…車で会社まで送るよ」
「ほ、ほんと！？ありがとう、セフナ。準備してくる！」
まだパジャマ姿だったヌナは、走って家の中に入っていった。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
