10.寝過ごした ページ11
＜ベッキョン＞
「ん…も、むり…」
「ごめん、無理させて。大丈夫、ちょっと寝なよ。ちゃんと起こすから」
「うん…」
Aは2回戦が終わった後、相当眠そうにしていて。
意外と体力無いのかな、と思いつつそう促すと、Aは素直に瞼を閉じた。
俺はAを、ぎゅっと抱き寄せてみる。
…可愛いじゃ、ないか。
裸できゅっと丸まるその姿…こたつで丸くなる猫みたいで。
それを腕の中に収めるっていうのは…うん、非常に良い。
こんなこと、Aに対しては初めてで。
久しぶりに、ドキドキしてる気がする…こんな感情、まだ俺の中にあったんだ…。
「ふわぁ〜…」
そうは言いつつ、俺も、少し眠たくなって。
ちょっとだけ寝るつもりで…目を、閉じた。
ブーブーブー…
バイブレーションの音で、目が覚める。
どっちかのスマホ、鳴ってる…？
頭はぼーっとしつつ、反射的にスマホを探す…たぶん、Aの方だ。
Aのカバンからスマホを取り出す。
そこには、“着信 セフン” の文字…
…誰。
男、だよな…
ズキッ、と、胸に何かが刺さった感じがする。
Aは俺の隣でまだすやすやと眠っている…
このまま、寝かせてあげようか、とも思ったけど。
もう一度画面を見ると…
時刻は、0時を回っていて…
「え、やっべ！！！」
ほんの10分程度寝るつもりだったのに、2時間は経っている…
「A、起きて！！！」
慌ててAを叩き起こす。
「ん…なにぃ…」
あ、可愛い…
じゃ、なくて！！！
「0時過ぎてる！あと、誰かから、電話！」
「…へ…！？」
Aは状況を把握したのか、ハッとした後、俺からまだ鳴っているスマホを受け取る。
「もしもし、ごめん！…え、嘘！？…は、はーい…」
そんなAの会話を背中に、俺は服を着る。
…気になるな。誰なんだろう。
まぁ、そんなことを考えている暇は無くて。
Aはスマホをしまって、急いで服を着始める。
その間に部屋にある自動精算機で会計を済ます…やば、普段の倍以上じゃん。
「ごめん、起こすって言ったのに…」
「本当よ。ったく…」
…あれ、やっぱり、可愛くない女。
でも普段がこれだから、ふとした瞬間に可愛く思えるのかな、なんてね。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年11月6日 6時
