リナリアに苦悶する 7 (ページ8)

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307.何があったのかページ8

＜セフン＞

帰ってきてから、Aの様子がおかしい。

玄関の前で扉にもたれてしゃがんて俯いてて、声をかけても反応なし。

頭を撫でようとすると…力なく、その手を払われた。

そしてへなへなと寝室に歩いていってしまった。

『ベッキョニオッパと少しお出かけをするので帰り遅くなります。お土産買って帰るので拗ねないでくださいね』というメールが昼に来て。

A、帰ってこないのか…という寂しさと。

ベッキョニヒョン、Aといい感じにやってるのか、という安心…

と、もどかしさ。

『ベッキョニヒョンと、付き合いたいとかはないの？』

『でもベッキョニヒョンもAを幸せにしてくれると思うよ』

そうAに言ったのは俺だ。

Aには…女の子としての幸せを感じて欲しいんだ。せっかく女の子に生まれたんだしね。

それは俺にはできないから、ベッキョニヒョンに託そうと…決めた。

でも、俺は、恋愛とかどうでもよくて、ただ…Aに、俺のそばにいて欲しいんだけど。

なんて、複雑な思いを抱えてて。

もしかしたら、Aはこのまま、ベッキョニヒョンと付き合って…ゆくゆくは、結婚して。

俺から、完全に離れるのかもしれない。

そう思ったら、今のうちに、たくさん一緒に時間を過ごしておきたくて。

少し出かける、と言った癖に17時になっても帰ってこないAちゃんに、『晩ごはんは帰ってくるよね？』とメールを送った。

…ベッキョニヒョンとの時間を邪魔したから怒ってる？

いや、そのレベルじゃないでしょ。

そんくらいだったら、ちゃんと怒りながら言ってくれるはず。

…無言で、俺の手も払って、寝室に消えていくほどのことって…何？

このまま寝室に追いかけても、話してくれそうにないし、しばらくそっとしておいた方がいいかな、Aちゃんには。

落ち着いたら、きっと話してくれるはず。

そう思って、晩ご飯は1人でカップラーメンで済ませた。

そして寝室を覗くと。

ベッドにダイブした体勢のまま、目を閉じて眠るA。

頬にも布団も涙の跡がある。

そっと抱き上げて布団を捲ってベッドに下ろし、布団を掛ける。

そっと頬を撫でると、寝顔が歪んだ。

何があったのかは、きっとベッキョニヒョンが知ってるし、ヒョンに聞くのが早い。

でも生憎、今日はミンソギヒョンのお店にバイトに行く日。

ちょっとミンソギヒョンに今日のバイトどうするか電話…

『ベッキョンなら今店にいるぞ』
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