リナリアに苦悶する 7 (ページ49)

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348.したい気持ちページ49

＜ベッキョン＞

「…セフンとも、恋愛してみたかったってさ」

寝室から戻ってきた俺に、開口一番、酒をチビチビ飲みながらチャニョルはそう言った。

「…それで？」

「そこまで喋ってお前が大声出して起きたんだろうがよ」

「…そっ、か」

そりゃ、そうだよな。

セフンとも恋愛、したかったよな。

けれど俺は、隠している。

本当はセフンにも、Aちゃんに対して恋愛感情を持てるんじゃないかということを。

隠して、俺のものにしている。

「はぁーっ…」

「なんだよ、言いたいことあるなら言えよ」

「…本当に俺で、いいのかな」

ぼろっと不安がもれる。

「今更弱気になんなよ」

「そうだけどさ…」

はぁ、とため息をつくチャニャル。

「俺、明日明後日1人旅行にでも行こっかなぁ！」

「…え、まじ？」

「勘違いすんなよ。ふと、思い立っただけだからな」

そう言うチャニョルは、気を遣っているわけじゃない、と俺に罪悪感を抱かせないようにしてくれている。

「まぁ…さ」

チャニョルは、ほぼ氷が溶けていて薄まっているであろうハイボールのグラスを傾けた。

「A、ベッキョンとしてみたいって言ってたし…ぷっ」

「…へ！？」

大人な仕草をしたかと思えば笑いながらそんなことを言い出すチャニョルに焦る俺。

「な、なんちゅう話をしたわけ！？俺の可愛い純粋なAに！！！」

「ベッキョニオッパばっかり色々してくれるから、私からも何かしてあげたい〜、だってさ」

「…な、なにそれ、可愛い」

「惚気やめろ〜」

そう言われても、俺はAバカですから。

それにしても…そうか、Aを抱く、かぁ…

俺もアラサー。性欲は落ち着いてる方。

経験もそこそこ豊富で、余裕もある。

もうガキじゃないんだし、今すぐしたい、ってわけでもないんだけど。

でもまぁ…お試し期間1ヶ月の間に、さ。

Aさえ良ければ、したい。

身体の相性も大事だし…っていっても、Aは経験が無いんだし、俺の好みに育て上げればいいか。

「ベッキョン、男の顔になってる」

「そりゃなるだろ！好きな子に、シたい、なんて言われたら誰だって」

「あーはいはい、俺がいない間に存分に楽しんでくださいねっと」

チャニョルはそう言って立ち上がる。

「じゃ、明日予定できたことだし、俺は寝るわ〜」

「うん…マジ、ありがと」

「だから俺がふと旅行に行きたくなっただけだって」

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