リナリアに苦悶する 7 (ページ33)

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332.あの子のおかげページ33

＜セフン＞

「あれ…どこだ…」

掃除機は、どこにしまっておいたか。

「あれ…なんかお金少ない…使いすぎ？」

お金はどうやって節約するのか。

「…硬っ」

お米はどうやっていい感じに炊くのか。

まったく、ここは俺の家だろ。

なのに…なんでこんなに生活しづらいんだ。

『もー！セフンさん、床になんでも置かないでくださいよ！掃除機の邪魔です！』

『割引券…あった！これで今月は乗り切れますよ！』

『ふふっ、今日は良いお米なんですよ！気付きました？』

…あぁ。

『だって面倒くさいじゃん、いちいち片付けるの。後でまとめてやるって』

『後で大変なんですから！』

『いつか本気出すから』

『いつ出るんですかその本気は！』

『ふふっ、なんかAお母さんみたい』

『なっ…私はっ…お母さんじゃ、ありませんっ！！』

部屋が綺麗だったのも。

『そんなに今月やばいのー？』

『ヤバいに決まってるじゃないですか！！』

『そっかぁ。でもお寿司食べたいなぁ…』

『む、無理ですよ、今月は…』

『A〜、食べたいなぁ、お寿司〜』

『…夕方割引になってるか見てきます』

『やったぁ！』

少ない収入でやりくりできてたのも。

『え、全然気付かなかった』

『…せっかくジュンミョニオッパからお米分けてもらったのに』

『へー。てかこっちのおかずの方が美味しい』

『ほ、ほんとですか？』

『うん。俺これ好き』

『う、嬉しいです…えへへ』

美味しいご飯が食べれてたのも。

全部…あの子のおかげだ。

それは、認めざるを得ない、な。

「ふーっ…」

ジュンミョニヒョンが帰って、色々家事をしていたら疲れた。

『Aちゃんといて湧き上がる感情は、辛い、だけか？』

…失って気付く、とよく言う。

でも俺は、気付いていた。

けど、それを気付かないふりして手放して。

その結果、嫌でも気付かされていることがある。

夜。

「セフナ、なんな元気無いな」

「んー、別に」

「Aちゃんと何かあったか？」

「…なんで」

「大抵Aちゃんのことだろ、お前が落ち込むのは」

ミンソギヒョンのバーでバイト中、ヒョンにそう言われた。

「…俺、しばらく相談受け付けないから」

「え…分かったけど…そんなに大変なことがあったのか？」

「…ううん。ただ気分が乗らないってだけ」

俺は…あの子に生かされていた。

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