リナリアに苦悶する 7 (ページ27)

今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:14,319 hit

326.眠りに落ちるページ27

＜ベッキョン＞

「オッパ…ベッキョニオッパ…」

「ん…」

軽く揺すられて目が覚める。

「ごめんなさい起こしちゃって…でもここで寝てたら身体痛めちゃうから…」

「あ…あぁ、ありがと…」

いつの間にか、ベッドを背もたれにして床に座ったまま、寝ていたようだった。

カーテンからは明るい光が差し込んでいる。朝か。

「オッパ、ベッドで寝てください、私は目が覚めてるので…」

「ん…うん、ありがと…」

まだ俺は眠気が強くて、言われるがままにのそのそとベッドに上がり横になる。

「昨夜はありがとうございました、おやすみなさい」

「ん…」

重い瞼に身を任せて、また眠りに落ちた。

『ベッキョニオッパと出会えて、よかったです…』

『ははっ…嬉しい。俺も』

ん、これは…？

ソファに座る俺の隣にはAちゃんがいて、俺に寄りかかっている。

俺を上目遣いに見上げる姿は、最高に可愛い。

俺たち…付き合ったんだっけ。

『そろそろご飯にしますか？』

『うん、そうだね』

『何が良いですか？オッパの好きなもの作るから！』

頭がふわふわする。

可愛いAが立ち上がって、スカートをヒラヒラさせながら、台所へ歩いて行く。

幸せ…

『オッパ？』

俺はAのことを愛してるし、Aも、俺のことを愛してくれている。幸せだ。

完璧に…

『なんか言ってくださいよ、ベッキョニオッパ』

不思議そうな顔をして、俺を見るA。

『なんで何も言ってくれないんですか？』

きゅるきゅるした目が、俺を貫く。

その目に、俺は吸い込まれる…

『なんで、言ってくれなかったの』

突然声が変わり、Aの可愛さに蕩けていた俺はハッとする。

目の前にいたのは…

『ベッキョニヒョン、なんで、言ってくれなかったの』

『セ、フン…？』

アイツになっていた。Aは？俺の愛しの…

『なんで言ってくれなかったの？俺も、Aと恋愛できるかもしれないってこと』

『え…？』

『Aを自分のものにするために黙ってたの？狡いよそんなの』

『ち、違う…俺は…』

確かに、俺は、セフンが恋愛できる人間かもしれないと知っていながら、Aちゃんにもセフンにも黙っている。

『…最低です、ベッキョニオッパ』

パッと顔を上げると、セフンの隣にAがいて。

『最低、です…』

Aが、泣いている…

嫌だ…そんな…Aに、泣いてほしくない…

嫌だ…！！！

.