リナリアに苦悶する 7 (ページ20)

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319.何やってんだよページ20

＜チャニョル＞

「ただい、」

「おかえりチャニョル！！」

仕事から帰り、玄関のドアを開けると大きな声で駆け寄ってきたベッキョン。

飼い主を待ってた飼い犬か、ってくらいの勢いに戸惑う。

なんだか俺の顔を見てホッとしてる気もする。

「突然なに？」

「いやぁ〜…あはは…」

苦笑いをした後、ベッキョンは俺の肩を組んでグイッと顔を寄せてきた。

「昼間、連絡したよな？」

「うん。Aがいるんだろ？…仕事忙しくて既読無視したけど」

「無視すんなよ！！」

「いや、だって意味わかんなかったし。突然Aが家に泊まるー、とか」

「色々あるんだよ〜分かってくれよ！」

「だって…セフンは？」

「あ、それ禁句な。ぜっっっったいAちゃんの前でその名前出すなよ」

「はぁ？何があったの、マジで」

小声でこそこそと話してくるベッキョン。きっと、リビングにAがいるんだろう。

セフンが禁句って…あれだけ、Aはセフンのことが好きでさ。

ベッキョンがそんなAを好きになっちゃって…最近は良い感じになってて、セフンがいなけりゃ結ばれてる、って感じじゃなかったのか？

「とりあえず、チャニョルはいつも通りのバカな感じで居てくれればいいから」

「それいつも通りじゃないんですけど？」

「それ！その感じでいいから、ねっ？よろしく！！」

バシッ、と痛いくらい背中を叩かれて、そのままグイグイと背中を押してくるベッキョン。

まったく…仕事で疲れてんのにさ。

そのまま廊下を進み、恐る恐る、ガチャ、とリビングのドアを開けると。

ソファに、ポツンと座る、A。

「ただいま…A、久しぶり」

いつも通り、と言われたから、なるべく自然な感じでそう言ってみる。

控えめに振り向いたAの表情は…明らかな曇っていた。

「…おかえりなさい」

ほとんど口を動かさずに発した言葉には、力がこもっていない。

少なくとも俺の知ってるAじゃなくて…何があったのか、ますます気になる。

「晩ごはんにしよっか！チャニョラ、作って！」

「お、おう…」

そう言いつつ、

「…後でちゃんと説明しろよ」

ボソッとベッキョンにそう囁いて、キッチンに向かった。

得意のキムチトマトパスタを作りながらチラリとソファの方を見る。

どんよりした顔でぼーっと床を見つめるA。

そしてその隣で、チラチラとAの方を気にしながら、他に何をするわけでもなくただ座っているベッキョン…

なにやってんだよ。

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