リナリアに苦悶する 7 (ページ18)

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317.無感情ページ18

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『教えてもらったんでしょ。俺は、恋愛ができない。もちろん、Aとも』

『Aは俺のことが恋愛的に好きだったのに、残念だったね』

『俺はお前を女として見てないし、見れない。恋愛したいんなら、他の人としてくれ、としか言えない』

『俺以外に、いるじゃん。よかったね』

その１つ１つの言葉のストレートパンチは、重々しくて。

もう、ボロボロだった。

そして、出て行ってくれ、と言われているように感じて。

「…大好き、でした…っ、セフン、さんっ…」

最後にそう言い残して寝室に向かうと、感情は無になった。

大きなバッグに、着替えや日用品などの必要なものをひたすら詰め込んでいく。

でも、あまり持って行くと、ここでの生活を思い出しそうだから、必要最低限にした。

あとは、振り返らないようにして家を出た。

スマホでメッセージを送ると、公園のベンチに座った。

そのままボーッと、景色を眺める。

何事も無かったかのように、周りは動く。

車はひっきりなしに目の前の道路を通っているし、たまに吹く風と当たり前に木の葉が擦れる音がする。

たった1人の私が失恋したところで、世界が変わるわけじゃない。

じゃあ…いなくなったところで…？

「Aちゃん！！」

もう聞き慣れた声がして、そちらを向く。

「はぁ…はぁ…ごめん、待った？」

息を切らしたベッキョニオッパが、そこにはいた。

「その荷物…」

傍に置いた袋を見て驚いたような顔をするオッパ。

オッパには、『家の近くの公園にいるので迎えに来てください』としか送ってない。

でも、何か察した様子のベッキョニオッパは。

「…行こっか。荷物持つよ」

そう言って大きな袋を持つと、私の手を取り歩き始めた。

近くに止まっていたベッキョニオッパの車に乗り込み、知らない道を行く。

シーンとした車内。

気まずいというわけでもなく、ただ私は移り変わる車窓を眺めていた。

「えっと…ここでいいんだよね…？自意識過剰じゃない？」

車が止まったのは、見知らぬマンション前。

「俺の家…初めてだよね」

コクリ、と頷くと、ホッとしたような顔をするベッキョニオッパ。

「じゃあ…どうぞ。男2人暮らしだから、汚いけど」

男の人の家にお邪魔するなんて初めてて緊張…なんて、他の場面だったらするんだろうけど。

今は感情が、ひたすらに無だった。

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