リナリアに苦悶する 7 (ページ2)

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301.ギャルゲーページ2

＜ベッキョン＞

俺が取った決断は。

「…Aちゃん」

「はい？」

「俺、思い出したわ、アセクシャルの意味」

「お、どういう意味なんですか？」

「それはね…

俺にゲーセン付き合ってくれたら、教えたげる！！」

必殺、後回し！！！！！！！

「えー、なんなんですか、もう…」

「ははっ、久しぶりにさ、行こうよ一緒に！」

…情けねぇ。

一応明るく振る舞うけどさぁ…完全に、タイミングだったよなぁ…逃しちゃったかなぁ…また来るかなぁ…。

まぁいっかぁ、俺、夏休みの宿題最終日にまとめてやるタイプだったし…。

「手加減してくださいよ？」

「うーん、Aちゃん次第かなぁ〜」

「うわ、大人気ない」

ちょっと顔を顰めてから、またふっと笑うAちゃん…かわいいなぁ…。

ほんと、恋人にピッタリなんだよなぁ…。

「…ベッキョニオッパ、なんですか？」

「ん？」

「そんなに見ないでくださいよ…」

Aちゃんは顔を少し赤らめながら目を逸らす…

あれ、俺ギャルゲーやってたっけ。

「もうちょっと奥です！」

「おっけー…ここだ！！」

ボタンを押すと、ゆらゆらと頼りないアームが降りる。

それは、今流行りの犬のぬいぐるみの頭…の横スレスレを通る。

「あ…」

残念そうな声を出すAちゃん…まだまだだな。

「よく見て」

「え？」

ぬいぐるみをギリギリ避けるように降りたアームのツメは、そのぬいぐるみのタグを、見事にキャッチしていた。

「わぁ…！」

Aちゃんの感嘆の声と共に、上がるアームと共に釣り上がるぬいぐるみ。

そのまま、ストレートに出口へと落ちた。

「ベッキョニオッパすごい！！！ありがとうございます！！！」

ビョンベッキョン27歳。

10年前の学生時代に習得したクレーンゲーム技術は、この日のためだったのだ、と、大きめのぬいぐるみをぎゅっと抱えたAちゃんを見て、思ったのだった…。

「Aちゃんの指示があったからね！」

ビョンベッキョン27歳。

今までに身につけた女の子へのフォローを欠かさない気配りも、今日のためにあったのだ…。

「いえいえ！…うわぁ、もふもふだぁ、可愛い…んふふ」

ビョンベッキョン27歳。

今まで出会った女の子は数多くいるが…今まで会ったどの女の子よりも純粋であざとさが無くて、トロトロに溶けてしまいそうだ…

心のキャプチャー＆セーブボタン連打っと…。

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