リナリアに苦悶する 6 (ページ35)

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284.恋愛してみたいページ35

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今日は、バイトも休みで、久しぶりに家にセフンさんと2人きり。

いつものように９時に起きて、事務所の掃除をして、来ないお客さんを事務所で待っていると、眠そうなセフンさんが起きてくる。

「ん…ふわぁ…おはよ…」

今日は一段と眠そうなセフンさん…そりゃあ…

「おはようございます。昨日、遅くまでどこに行ってたんですか？」

「んー…だから大人の事情だってば…」

そう言いながらまた大きくあくびをして、私の隣に座ってくるセフンさん。

「もう…」

どう聞いてもこうやってはぐらかされるから、早々に諦める。もう慣れた。

セフンさんとは、もう長いこと一緒にいるんだもん。

諦めがつくことも、最初に比べると増えてきた。

「はぁ…久しぶりに2人きり…」

そう言いながら、私の気も知らないでぎゅっと抱き付いてくるセフンさんにも。

「あ、イヤリングしてない！俺はAちゃんがくれたネックレスずっとしてるのにー」

変に嫉妬して、わがままを言ってくるセフンさんにも。

「ふわぁ…まぁいいや、ちょっと早いけど昼寝しよーよA〜」

マイペースで私を置いていきながら、相変わらず私を抱き枕にするセフンさんにも。

でも。

「セフンさん、お客さん来たらどうするんですか」

「んー、来ないってどうせー…それに…Aとの時間の方が大事…」

そう言いながら、ぎゅっと腕の力を強めてくる。

こういう、ふとした瞬間の、キュン、ってなる感覚には…慣れないんだよな。

こんなにわがままで、自由奔放で、散々困らされているのに…やっぱり甘え上手で、私を喜ばせるのが上手い。

こんなに…私はセフンさんのことが好きなのに…。

よっぽど眠かったのか、もうすやすやと夢の中の様子なセフンさん。

少し体を捩ってみると、「んんっ…」と小さく唸るような声を出して、私の胸元に顔を埋める…

まったく。

どうして、私を女として見てくれないの。

こんなに近くにいるのに…なんなら、セフンさんから寄ってきてくれるくらいなのに。

私とセフンさんの気持ちは、恋愛となるとすれ違う。

…近くにいすぎるから、もう家族みたいな感じなんだろうか。

家族…セフンさんと家族…も、嬉しいけど…

やっぱり私は、恋人になりたい。

普通の恋愛が、してみたい。

恋人になってから、結婚して、家族になれば、いいわけだし…

なんて、実現可能か分からない未来を、描いてみる。

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