リナリアに苦悶する 6 (ページ34)

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283.攻略法ページ34

＜ベッキョン＞

「え…」

「正確にはちょっと違って…そういう人は、”デミセクシャル”って呼ばれるんだ」

「なにそれ？」

「基本的には他者に性的に惹かれることはないけど、特別深い愛情や友情などのつながりを感じた時にのみ、性的に惹かれる、っていうセクシャリティのことだね」

「特別深い愛情や友情…」

「うん。セフン、くんとその女の子がどのくらいの関係性なのかは分からないけど、もしかしたら特別な感情っていうのが恋愛感情っていう可能性はあるね」

つまり…

セフンは、恋愛感情を持つことが、できるかもしれない…？

少し、意識がふわふわとする。

「あ、その女の子はジョンデも会ったことがあるよ。前来た時にここで働いてた、Aちゃん」

「あぁ、紅茶を溢しちゃった子？」

「うん、その時はごめんね」

「いえいえ」

ミンソギヒョンとジョンデの会話のやりとりも、ふわふわと水の中から外の会話を聞いてるみたい…

「だって、ベッキョナ」

ミンソギヒョンが俺の名前を呼び、少しだけ意識がはっきりする。

「…あの…つまり、セフンとAちゃんは…恋人になれたり、する、ということで…？」

「まぁ、恋人になるならないは結局は本人たちの意志ですけど、関係性を深めれば、恋愛的に両想いにはなれるかもしれないですね」

「…はは、そうっすかー…はは…」

口元が引き攣る。

これは…やばいことを聞いてしまった。

こんなこと…セフン本人が知ったら、どうなるだろう。

「…ミンソギヒョン、俺、どうしよ…」

「やっぱりセフンは強敵だね」

「強敵、どころか…」

まだ自分の本当の力に気づいてないチートキャラ、ってことじゃん…！？！？

「…なんか具合悪くなってきた」

「ははっ…でも結局は、本人たち次第だよ。Aちゃんはセフンとベッキョン、どっちのことも好きみたいだし。セフンに勝てば、Aちゃんはベッキョンのものだよ」

「…レベル10でレベル100のチート級のラスボスに立ち向えるとでも？」

「それはベッキョンがレベリングしっかりしてくれよ」

いやぁ無理でしょ！！無理無理！！！勇者剣投げ出すわ！！！

…とはいえ。

セフンとAちゃんが両想いになれて恋人になれると分かっても…

俺のAちゃんへの気持ちは、そう簡単に冷めるものでは無い。

俺がするべきことは…何だ。攻略法は。

特別深い繋がり…か…それを、邪魔、しろと…？

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